https://cdn.mainichi.jp/vol1/2018/03/04/20180304k0000m040064000p/9.jpg
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2018/02/20/20180220hpj00m040007000q/9.jpg

青森県の米軍三沢基地所属のF16戦闘機が補助燃料タンク2個を同県の小川原湖に投棄した問題で、自衛隊がタンクの破片の捜索や回収に当たってきた。その費用は日本が全額負担するという。一体どんな理屈なのか。【前谷宏、一宮俊介、福永方人】

 現場では投棄の翌2月21日から海上自衛隊大湊地方隊(同県むつ市)の隊員が凍った湖に潜り、作業してきた。防衛省東北防衛局によるとすでに約9割を回収し、米軍に引き渡した。

 現場の同県東北町の蛯名鉱治町長は投棄の当日、米軍に速やかな回収を申し入れた。だが米軍側は「空軍基地で回収できる能力がない」と説明。東北防衛局に相談すると大湊地方隊なら可能という。町の依頼で県は自衛隊法に基づく災害派遣を要請。米軍からの要請もあり、防衛省は災害派遣3要件(公共性、緊急性、非代替性)に合致するとして海自を出動させた。

 防衛省は、ジェット燃料が拡散する中、迅速な対処には災害派遣しかなかったとするが、費用は災害対策基本法に基づき自衛隊が負担する。米軍の不始末に国費を投じる理由について、防衛省は「(同法に)費用を米国に請求できる根拠の規定がない」としている。

 ◇漁業補償も一部負担か

 禁漁を強いられた湖の漁業関係者への補償でも、日本が一定額を負担する可能性が高い。日米地位協定は米軍の公務中の事故に伴う第三者への補償や賠償について、米軍にのみ責任があっても負担は最大75%とし、残りは日本の負担とする。ただ補償できるのは米軍の行為と被害の因果関係が立証できた場合で、防衛省幹部は「漏れ出た燃料は揮発性が高く、禁漁の必要性やそれに伴う損失を米軍が認めたがらない可能性がある」と漏らす。

 実は、1992年にも米軍機が小川原湖にタンクを投棄した。当時の防衛庁は補償ではなく見舞金として約800万円を支払ったとされる。同時に小川原湖漁協が求めた湖岸の荷さばき場整備で、事業費の7割近い約8000万円を補助して地元と折り合った。元漁協幹部(77)は「当時はそれで納得したが、今回は補償がないと収まらない」と話す。シジミ漁師(62)は禁漁で月約30万円の収入が途絶え、船で氷を割るなど回収も手伝ってきた。「経費もかかるし、補償がなければ生活は成り立たない」

 国費負担について、防衛省幹部は「日米安全保障条約で米国が日本の防衛義務を負うため」と話す。トラブル続きの米軍に日本政府ができるのは再発防止の要請程度。「政府は当事者能力がない」(翁長雄志・沖縄県知事)と批判され、防衛省は同盟国と基地の地元との板挟みとなっている。

 今回の投棄につながったエンジントラブルについて三沢基地は「F16の構造的欠陥ではなく当該機の不具合」としており、同型機は投棄後も通常の飛行を続けている。漁師は空を飛ぶ米軍機を見上げて言った。「沖縄の人たちが怒る気持ちも分かるよ」

 ◇米軍負担が筋

 防衛問題に詳しいジャーナリストの布施祐仁さんの話 小野寺五典防衛相は「本来なら米軍が回収する案件」と語ったが、それなら回収費用も米軍が負担するのが筋だ。政府は米国に負担を求め、トラブル原因の判明まで飛行中断を要請すべきだ。日米地位協定と政府の弱腰な姿勢が治外法権的状況を許している。

3/3(土) 19:27配信
毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180303-00000091-mai-soci

関連スレ
【青森】米軍F16戦闘機がエンジン火災 小川原湖に燃料タンク投棄 シジミ漁400メートル付近 「すごい水しぶきで驚いた」
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1519107428/