2014.03.14
いけすでイルカを飼育 「くじらの海構想」実現に向け
http://www.kinan-newspaper.co.jp/history/3/14/03.html
飼育員に餌をねだるイルカ
http://www.kinan-newspaper.co.jp/history/3/14/photo[5].jpg
太地町が構想を練っている、森浦湾を網で仕切り、くじらを放し飼いにする「森浦湾くじらの海構想」の実現に向け、同湾での試験的なイルカ飼育が始まっている。
同湾内にいけすを設置し、町立くじらの博物館のバンドウイルカ2頭を1月29日に搬入、同館飼育員が一日3回餌を与え、体調変化など様子を見て、構想実現の可能性を探っている。
12日現在、2頭は特にストレスを感じているそぶりもなく、いけす内を元気に泳ぎ回っている。
搬入されたイルカは、カイト(オス)、推定11歳、体長3・16b、体重308`と、リンクス(メス)、推定20歳、体長2・73b、体重233`。
いけすは円形で直径約15b、深さは約5b。国道42号から約200b沖の地点に設置されている。
飼育員は午前8時30分ごろ、午前11時30分ごろ、午後2時ごろの3回、船で来て餌を与えている。
体温測定を行って体調を管理するほか、同所と国道42号から約400bの地点の2か所で、海水の水温、透明度、比重のほか、気温、風向き、うねりなどを観測。
湾内の飼育に問題がなく、構想の実現が可能かどうかを慎重に見極めている。
12日午後2時のエサやり時は、2頭とも食欲旺盛。飼育員に餌をねだり、またいけす内で豪快にジャンプするなど、完全に環境に適応した様子を見せていた。
同館の飼育員で学芸員も務める稲森大樹さん(29)は、「搬入してしばらくは、環境が急に変わったせいか戸惑う様子も見られたけど、今はすっかり慣れたようで、飼育面での問題は特に見当たらない。
餌もしっかり食べるし、病気にかかる様子もない。ただ、時期によって湾内の海水の状況など変わってくることもあるだろうし、台風の襲来で影響が出ることもありうる。しっかりと観察して問題がないかを見極めたい」と話した。
町では、平成26年度当初予算案で、森浦湾くじらの海構想関係事業に250万円を計上。
平成25年度に同構想の実施計画案を練っていたが、湾内養殖業者との立ち退き交渉が難航するなどして未完成だった。
ようやく交渉が成立したので計画を完成させ、それに基づいて構想を進めていきたいとしている。