アパート駐車場に新種クマムシ、驚異の生命力
2018年03月09日 14時49分
http://www.yomiuri.co.jp/science/20180309-OYT1T50032.html

 慶応大先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)の荒川和晴准教授(38)が、市内で新種のクマムシを発見した。
 発見場所にちなみ、「庄内」の名を冠し、「ショウナイチョウメイムシ」と命名。県内で新種のクマムシが確認されたのは初めてという。
 クマムシを研究している荒川准教授が以前住んでいた、同市大塚町のアパート駐車場で昨年春に見つけた。DNA型鑑定をしたところ、これまでのクマムシとは異なることが分かり、ポーランド・ヤギェウォ大のルーカッシュ・マイカルチャイク准教授に詳細な鑑定を依頼。新種と判明し、米国科学専門誌「プロス・ワン」のオンライン版で発表した。
 発見場所の駐車場のコンクリートのコケから体長0・2〜0・3ミリほどの約10匹を見つけたという。
 興味深いのはその生命力だ。水分が失われ、カラカラに乾燥した「乾眠かんみん」と呼ばれる状態のクマムシは、マイナス273度の極低温や100度の高温、人間の致死量の1000倍に相当する放射線量にも耐えられる。水に浸すと元通りになり、中には30年以上の乾眠状態から復活した事例もあるという。
 荒川准教授は「あまりに身近な場所での発見に驚いた。庄内は豊かな生態系があるから発見できたのかもしれない」と話している。

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新種のクマムシ(電子顕微鏡で)=荒川准教授提供
http://www.yomiuri.co.jp/photograph/news/article.html?id=20180309-OYT1I50008