新幹線「のぞみ」の台車に破断寸前の亀裂が見つかった問題で、博多で折り返す前の下り運行の際、神奈川−愛知県の約200キロを走行する間に台車の温度が約10度上昇し、他の台車より約15度高い40度近くに達していたことが分かった。異臭や異音として表面化する約4時間半前には、台車で異常が進行していたことになる。

 JR東海によると、昨年12月11日午前9時前後に、神奈川県小田原市と愛知県豊橋市に設置した赤外線センサー「台車温度検知装置」で、モーター回転を車輪に伝える「継ぎ手」の温度上昇を記録していた。基準値内だったため警報は出ず、亀裂発覚後の調査で判明した。数値は公表していない。

 毎日新聞が入手した内部資料によると、小田原で同じ列車の他の台車より突出して高い約30度を記録。豊橋ではさらに差が開いて40度近くに達した。この後、博多までの約800キロにセンサーはなく、温度変化は把握できていない。亀裂で台車枠がゆがみ、変形した継ぎ手が高速回転して熱が発生したと考えられている。

 のぞみは博多で折り返し、午後1時33分に東京に向けて出発。2分後から異音や異臭などが次々と報告されたが、名古屋まで運転を続けた。

 JR西日本は問題発覚後、指令体制の強化や点検の判断基準の明確化などソフト面を中心に対策を進めた。ハード対策としては、自社区間になかった台車温度検知装置の新設や台車へのセンサー設置の方針を示したが、具体的な時期などは検討中としている。【根本毅】

/10(土) 15:00
毎日新聞
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