英国南部でロシア情報機関の元幹部が狙われた殺人未遂事件を巡り、
メイ英首相は14日、事件にロシアが関与したとして、英国に居住している露外交官23人の国外追放などの対抗措置を打ち出した。
メイ氏はトランプ米大統領やメルケル独首相と相次いで電話協議して協力を取り付けており、英露関係が「新冷戦」に突入するとの見方もある。

英国の要請を受け、国連安全保障理事会は14日午後(日本時間15日未明)に公開の緊急会合を開き、英国が事件について説明する。

タス通信によると、露外務省のザハロワ情報局長(報道官)は14日、「近く、声明を出す」と述べた。
英国の対抗措置に対する報復策を発表するとみられる。
また在英露大使館は14日の声明で、ヤコベンコ駐英大使が英外務省に呼ばれて外交官追放を通告されたと明らかにし、
「容認も正当化もできない短絡的な敵対行為だ。露英関係の悪化の責任は、すべて英国の政治指導層にある」と非難した。

メイ氏は下院で演説し、ハイレベルの政府関係者の相互訪問を停止することも表明し、
6月からロシアで行われるサッカー・ワールドカップに王室関係者などを派遣しないとした。
ロシアからの入国審査を強化するほか、英国内で違法活動に使用されていると証明できれば、
関係するロシア政府の施設の使用を凍結させる方針も示した。追放対象の23人の外交官は露情報機関員として活動しているという。

 メイ氏は露政府に対し、事件で使用された猛毒の神経剤「ノビチョク剤」について説明を要求したが、
回答期限の13日までに説明がないとし、「ロシアが責任を負う以外の結論はない」と述べた。

英政府は元露連邦保安庁(FSB)中佐がロンドンで2006年に暗殺された事件を受けて露外交官4人を追放した他、
ロシアによる14年のウクライナ南部クリミア半島の編入後、欧米各国とともに段階的に経済制裁を強化していった。
今回は06年の事件後よりも強硬な姿勢を示した。

また北大西洋条約機構(NATO)は14日の声明で、英国を支持するとともに調査への協力を表明し、露政府に説明と全面的な情報開示を迫った。
声明では、加盟国内で神経剤を使用した攻撃はNATO発足以来初めてとした上で、
今回の事件は化学兵器の使用を禁じた国際条約に「明確に違反する」と指摘した。

https://mainichi.jp/articles/20180315/k00/00m/030/069000c

別ソース
英制裁にロシア反発、報復措置も 近く声明発表へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28138860U8A310C1FF1000/