鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で殺人罪などに問われ、懲役10年が確定し服役した原口アヤ子さん(90)と元夫(故人)の再審開始を認めた福岡高裁宮崎支部の決定を不服として、福岡高検は19日、最高裁に特別抗告した。審理の場は最高裁に移る。

 弁護側は原口さんの年齢や健康状態などから、特別抗告しないよう求めていた。

 弁護側は再審請求審で、被害者の死因が「転落事故などによる出血性ショックの可能性が高い」とする法医学鑑定などを新証拠として提出。12日の宮崎支部決定は、この鑑定を「十分に信用性がある」と認定した上で、共犯者らの供述について「信用性に重大な疑義が生じる」と判断。昨年6月の鹿児島地裁に続いて再審開始を認めた。

 刑事訴訟法では特別抗告できる要件を憲法違反や判例違反がある場合と定めている。福岡高検の森本和明次席検事は、弁護側の法医学鑑定について「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとはいえず、最高裁の判例に反すると判断した」とのコメントを出した。

2018/3/19 18:30
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28313090Z10C18A3ACYZ00/