新年度に20億円超見込み

 青函トンネルの吉岡斜坑口(福島町)からケーブルカーで地下に下ると、約5分で海面下149・5メートルにある防災基地「吉岡定点」にたどり着く。2014年まで吉岡海底駅があった場所だ。気温20度、湿度80〜90%に保たれ、換気のために常に秒速1メートルの風が吹いている。基地には、約1000人が収容可能な避難所が整備されている。

 「30年間、火災が一度もない。備えあれば憂いなし。設備して訓練しているから起きないんです」

 吉岡定点が報道公開された6日、JR北海道の技術者は、トンネル内の安全性をそうアピールした。



 青函トンネルの安全対策は、毎分3800立方メートルの風を送り込む常用換気方式や、函館、札幌市内の管理センターから遠隔操作が可能な防火体制など、30年前の設計が今もなお有効なシステムとして機能している。

 昨年12月には、それらの高い土木技術が評価され、文化遺産の保存にあたる国際記念物遺跡会議の国内委員会から、「日本の20世紀遺産20選」にも選ばれた。

 とはいえ、完成から30年がたち、老朽化は確実に進んでいる。湧き出す海水は毎分20トン。くみ上げるポンプはさびが目立つ。14年には、換気や排水用の「先進導坑」で路盤が隆起したり、幅が縮んだりするゆがみが確認され、関係者に衝撃が走った。昨年実施された修復工事は約9か月間に及び、開業以来初めてとなる大規模修繕となった。

 JR北によると、本格的な老朽化対策が始まった1999年度から2017年度までの維持管理費は、計280億円以上に達する。18年度は20億円を超える見込みで、トンネルを所有する鉄道・運輸機構が3分の2、維持管理を行うJR北が3分の1を負担する。

「新たな負担枠組みを」

 先進導坑で起きた変形と同様の修繕は、今後頻度を増すとみられる。増加するコスト負担は、経営難のJR北に重くのしかかる。事態を重くみた高橋はるみ知事や地元経済界は昨年12月、国に対し、維持管理費の負担軽減を要請。JR北の島田修社長は、2月の道議会に参考人招致された際、「(要請は)大変ありがたい」と謝意を示した。

 2年前に開通した北海道新幹線は、新青森―函館間の運賃と特急料金の合計額が、在来線特急時代よりも2200円高い7690円に設定された。トンネルに対する負担のツケが利用者に回り、新幹線の利用減にもつながりかねない事態となっている。

 佐藤馨一・北海道大名誉教授(地域交通論)は「今後はさらに維持管理費が増えていく可能性がある。JR北と国だけではなく、貨物列車を走らせているJR貨物の負担も含め、新たな枠組みを作るべきだ」と提言している。

 (鈴木貴暁、木瀬武、松田拓也、平井翔子が担当しました)

http://yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20180314-OYTNT50021.html
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★1)03/20(火) 20:08:15.51
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