青森県弘前市の柴田女子高校が来年4月から共学にする方針を決め、県内の女子高校は、八戸市の千葉学園高校1校だけになる見通しとなった。

 少子化や女性の社会進出などを背景に、教育理念が時代と合わなくなったこともあり、県立高校はすでに全校が共学だ。経営安定のためにも、私立校が共学化の波にあらがえない状況になっている。

 柴田女子高校は1948年に開校し、家政教育に取り組んだ。女性は良妻賢母として家庭を守ることが重要とされていた60年代後半には約1800人の生徒が学んでいた。しかし、女性の進学と就労が一般的になった昨今は生徒数が減少。2015〜17年度の入学試験で各210人を募集したが、今年度の全校生徒数は282人に落ち込んでいる。

 同高は、経営改善に向け、来年4月から男子生徒を受け入れる方針を2月末の理事会で決定。来月にも新たな学校名や制服を決める。まず、部活動を売りにして男子生徒の獲得を狙うという。バスケットボール部は県内で強豪校として知られるためだ。中村光宏教頭は「『男女ともに強豪校』を目指す。まずは30人程度の男子が入学してくれれば」と期待する。

          ◇

 一方、県内唯一の女子高校になる見通しとなった千葉学園高校は裁縫学校としてスタートしたが、現在は生活文化科(家政)や調理科、5年一貫教育の看護科などを設け、暮らしに身近なことを専門的に学べる高校として発展してきた。

 千葉満校長は、共学に変える予定はないとし、「少子化が進み、経営に苦労しているのは事実。女子教育としてスタートした学校の理念をできるだけ守りたい」と話す。

 県内の女子高校を卒業した短大生(19)は「落ち着いた雰囲気で勉強したかったので女子校を希望した。イメージ通りで過ごしやすく、楽しい3年間だった」と振り返る。

 一方、県立青森東高2年の女子生徒(17)は「小中学校は共学なので、女子だけの環境が想像できなかった。共学は勉強の面でも競争が激しくていいと思う」と語る。

          ◇

 県立高校では、1997年度に弘前中央と八戸東の2校が、2003年度に八戸水産の2学科が共学になり、女子高校が姿を消した。私立でも、1994年度の東奥学園(青森市)をはじめ、弘前学院聖愛(弘前市)、八戸聖ウルスラ学院(八戸市)、青森明の星(青森市)が、相次いで共学になった。

 2015年度に共学になった青森明の星では、野球部やソフトテニス部、空手部など、人気の競技に打ち込める環境があるとアピールした結果、170人の募集に対し、約60人の男子生徒が入学した。現在はおよそ3人に1人が男子生徒となり、学校経営も好転しているという。

 同高は「野球部の全校応援など、学校一体となって活動する機会が多くなり、学校教育として厚みが増した」と、共学のメリットを受けとめている。

2018年03月22日 07時57分
YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180321-OYT1T50071.html