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3月23日 5時46分
埼玉県草加市の市立病院で、去年、良性の子宮筋腫と診断され、腹くう鏡手術を受けた女性患者が、その4か月後に同じ場所から悪性の肉腫が見つかり、先月、亡くなっていたことがわかりました。

亡くなったのは、草加市に住んでいた佐藤廣美さん(58)です。

家族によりますと、佐藤さんは去年1月、草加市立病院で良性の子宮筋腫と診断され、子宮を摘出する腹くう鏡手術を受けましたが、4か月後に体調が悪化し、同じ場所に大きな悪性の肉腫が見つかったということです。

悪性の肉腫への腹くう鏡手術は症状を悪化させるおそれがあるとして、学会が注意を呼びかけています。佐藤さんは転院した先の大学病院の医師に「検査画像を見れば、1月の時点で悪性の肉腫の疑いがある。本当に腹くう鏡手術を受けたのか」と驚かれたということで、治療を続けていましたが、先月7日に亡くなりました。

草加市立病院では、保険適用に必要な国の基準を満たさないまま、子宮がんの腹くう鏡手術を69人に行っていて、この中に佐藤さんは含まれませんが、手術をしたのは同じ医師でした。

家族は「私たちは手術で症状が悪化したと思っている」と話し、市立病院への不信感を強めています。一方、市立病院は家族に対し、「手術中に行った病理診断で良性だったのでそのまま進めた。手順に問題はなかった」と説明しているということです。

草加市立病院に県が立ち入り検査へ

埼玉県草加市の市立病院が保険適用に必要な国の基準を満たしていないのに、子宮がんの腹くう鏡手術を繰り返していた問題で、埼玉県は23日、医療法に基づく立ち入り検査を行い、病院の安全管理の体制に問題がなかったか本格的に調べることにしています。

この問題は、草加市立病院が、保険適用に必要な国の基準を満たしていないのに、腹くう鏡を使った子宮がんの手術を去年までの5年間に69人の患者に行い、診療報酬を請求していたものです。

これまで病院は、保険適用できるという誤った認識に基づく事務的なミスで、医療上の問題は生じていないとしています。

しかし、埼玉県や草加保健所は、高度な医療技術が必要な手術を専門的な訓練を受けていない非常勤の医師に長期間行わせていたことなどから、病院の安全管理の体制などを調べる必要があると判断し、23日、医療法に基づく立ち入り検査を行うことを決めました。

この病院では、学会のガイドラインでは対象にならない進行がんの患者にも手術をしていたことが明らかになっていて、県と保健所は病院の幹部から聞き取りを行うなどして、医療の実態についても詳しく調べることにしています。