北海道新幹線(新青森−新函館北斗間148・8キロ)は、26日で開業から2年となる。利用客は延べ400万人を超えたものの、「真価が問われる」(JR北海道の島田修社長)としていた2年目(2017年度)は前年度実績を大きく下回る見通し。さらに多額の営業費用が重荷となっており、札幌延伸が予定される30年度までいかに踏ん張るかが問われそうだ。【日下部元美】

JRによると、今月12日までの北海道新幹線乗客数は406万人。17年度の2月末までの利用客は前年同期を20・6%下回り、1日平均5100人だった。最多が8月の同7500人、最少は1月の同3400人で、特に7、10月は前年比25%減となった。

平均乗車率は16年度の32%に対し、17年度(2月まで)は27%と5ポイント低下。JRが「当面の目標」としていた26%をかろうじて超えた。JRは「観光目的での利用が多く、季節波動が大きい」として冬場の閑散期対策に力を入れ2月は前年実績をやや上回ったが、傾向はほとんど変わらなかった。

一方で、JRが昨年11月に公表した16年度の北海道新幹線の営業係数(100円の営業収益を得るために必要な営業費用)は146。青函トンネルの設備維持費などの負担が重く、54億600万円の営業赤字となった。17年度は、運賃収入がさらに減ることになる。

ビジネスなど安定した需要が本格的に見込めるのは30年度予定の札幌延伸後とみられ、JR幹部は「事実上の部分開業の現状では、採算の面で厳しい」と説明する。

島田社長は「新幹線の効果を道内の鉄道全体に広げることに引き続き取り組むとともに、青函トンネルの老朽設備の計画的取り換えを進め、(現在は最高時速140キロの青函トンネル内の)新幹線高速化などの課題も解決していきたい」と語った。

◇函館観光の効果は堅調

函館市によると、今年度上期の推計観光入り込み客数は約338万2000人で、新幹線開業直後だった2016年度同期を7・7%下回った。

開業効果の薄れを示す数字となったが、市観光企画課は「16年度の数字が大き過ぎた。2年目のダウンは想定されたこと。15年度と比較すると5・3%伸びており、新幹線効果は堅調だ」とみる。

冬場でも天候に左右されにくい利点に加え、青函航路のフェリーや空路との組み合わせが可能で、訪れた人が目的や時間に応じたさまざまな移動手段を選べることが強みになった。海外からの観光客が好調なことも大きいという。

人気を持続させるため、今後は登別、札幌方面や新幹線でつながる北東北など本州と連携した周遊コースの開発に力を入れる考えで、本吉孝年課長は「函館は陸・海・空それぞれの交通の要所。その特徴を生かした集客を図りたい」と話した。【山田泰雄】

3/26(月) 10:43
毎日新聞
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