<警視庁>「ミカン送る」は詐欺の予兆 警戒解く狙いか
3/26(月) 12:30配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180326-00000033-mai-soci

 オレオレ詐欺の発端は「ミカン」だった−−。何気ない電話でまず信用させ、「ワンクッション」置いてから2度目の電話でだます。巧妙化する振り込め詐欺でそんな手口が広がっている。警視庁は「あえて関係ない話題を出して警戒心を持たれないようにしている」と注意を促している。

 東京都葛飾区に住む高齢夫婦のもとに先月下旬、息子を名乗る男が電話してきた。「知り合いからミカンがたくさん送られてきたから、そっちにも送るよ」。離れて暮らす親を気遣うような電話。夫婦は相手が息子だと信じ込んだという。

 電話は翌日もかかってきた。「株でもうけようと思って、会社の金を使ってしまって……」。オレオレ詐欺の典型的な手口だったが、夫婦は見抜けなかった。銀行から600万円を下ろし、訪ねてきた「会社の部下」を名乗る男に渡してしまった。

 「携帯電話を変えた」「風邪を引いて声が変わった」。金をだまし取るための電話の前に「予兆電話」と呼ばれる電話がかかってくるのが、主流になっている。世間話を交わすことで家族構成や住所といった情報を探る目的もあるとみられるが、「ミカンを送る」という手口は新しい。警視庁亀有署管内では昨年10月以降、同様の電話が10件確認された。板橋署管内でも複数件あった。

 亀有署幹部は犯人グループの狙いについて「あえて詐欺とは到底結びつかない話から始めて、警戒されないようにしているのでは」と分析する。同署管内では「たまにはご飯でも行こうよ」などとワンクッションを置く詐欺電話も確認され、手口にはバリエーションがありそうだ。警視庁幹部は「オレオレ詐欺は年々巧妙化している。詐欺犯は声を録音されるのを嫌がるので、かかってくる電話にはいったん留守電で対応するのが有効だ」と話している。【五十嵐朋子】