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2018年3月29日 / 08:18 / 8時間前更新
[東京 29日 ロイター] - 公正取引委員会は29日、ドイツ銀行(DBKGn.DE)のドイツ法人とメリルリンチの英国法人が、米ドル建て国際機関債の取引で独占禁止法違反の受注調整を行っていたと発表した。公取委が国際機関債の取引での違法行為を認定するのも、海外企業同士の談合を独禁法違反と認めたのも今回が初めてのこととなる。

公取委によると、欧州投資銀行が発行した債券の引き受け金融機関に対し、顧客である三菱東京UFJ銀行が新発債を3億ドル購入する代わりに、同行が保有する2億5000万ドル分の既発債を買い取るよう要請。

しかし、引き受け金融機関の一角をなすドイツ銀とメリルのトレーダーが既発債の買い取り価格を談合。ドイツ銀が受注するように調整したという。

公取委の奥村豪・上席審査専門官は29日の記者向け説明会で「談合では貸し借りがあるのが通常だが、本件では認定していない」と述べ、メリルが何らかの見返りと引き換えにドイツ銀の受注につなげたとの見方を否定した。

奥村上席審査専門官はまた、今回の発表を金融庁にも連絡したと述べた。

既発債の違法取引は2012年5月30日に行われた。すでに除斥期間(行政処分が可能な期間)5年が経過しており、公取委は課徴金などの罰則を課すことができない。このため、違反者を公表することで注意喚起し、再発防止を狙う。

ドイツ銀、メリルともすでに再発防止策を実行しているため、公取委はコンプライアンス徹底のための行政指導は行わない。

ドイツ銀行の東京に駐在する広報担当者は、今回の違反行為について「公取委が本件の公表文で確認している通り、ドイチェバンクは、独禁法違反行為の未然防止に向けた取り組みおよび同法の遵守に向けた取り組みをすでに実施済み」と話した。バンクオブアメリカ・メリルリンチの広報担当者はノーコメントとした。

和田崇彦 編集:田中志保