公立高3分の2で入試採点ミス、242人に影響
2018年04月10日 10時40分
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180410-OYT1T50000.html?from=ytop_main4

 公立高校入試で採点ミスが相次いで判明し、1人が追加合格となった問題で、山形県教育委員会は9日、全52公立高校(県立中高一貫校含む)に指示した答案用紙の再点検の結果、採点ミスは全校の3分の2に当たる34校で計253件に上ったと発表した。

 既に判明している1人を除いて追加合格者はいなかった。広瀬渉教育長は「全く弁解の余地のない事態。受験生、保護者らの信頼を著しく損ねた。誠に申し訳ない」と陳謝した。

 県教委は3月下旬、山形県内の全日制高校を受験して不合格となった生徒1人について、保護者からの開示請求に基づき答案用紙を再点検したところ、採点ミスが見つかった。県教委はこの生徒1人を追加合格とし、全公立高校に答案用紙の再点検を指示。これまでに30校で調査を終え、25校で計204件の採点ミスが判明していた。

 県教委が今回、再点検結果を公表したのは残りの21高校と、県立中高一貫校で中学入試を実施している東桜学館中学校の計22校。新たに9校で計49件の採点ミスが見つかり、採点ミスは計34校、253件となった。

 ミスがあった学校は、村山地方が17校、庄内と置賜地方が各7校、最上地方が3校。受験生1人に対して複数のミスもあり、242人に影響した。1校だけで33件のミスがあった学校があったほか、最大の誤差が10点となった受験生が2人いた。

 ミスの内容は、配点どおりに採点しなかったり、誤記載したりした「配点・記載」が110件と最多で、正答と誤答を間違えるなど「正誤」が92件、小計の誤集計など「集計等」が49件、得点を集計表に転記する際に誤った「転記」が2件。教科別では、理科79件、社会57件、英語45件、国語39件、数学33件だった。

 県教委は2003年度から、別の教職員が答案用紙を計3度チェックする態勢を取るよう指導しているが、多くの誤りが見過ごされ、チェック態勢が機能していなかった実態が浮き彫りとなった。

 広瀬教育長は「問題構成や答案用紙の様式のほか、(採点者)一人一人が真剣に答案用紙と向き合うための意識改革が必要」とし、今後、原因究明に努める考えを示した。採点ミスを防ぐためのマニュアル作成なども検討し、再発防止に努めるとしている。

 県教委は在校生のいる過去2年に遡って答案用紙の再点検を行う方針。山形市で12日に臨時の校長会議を開き、対応を協議する。