◆走行中に給電できる「電気道路」をスウェーデンが公道で開発中、道路&既存自動車への導入コストも安価

二酸化炭素排出量を削減するために自動車の電動化が注目されており、ヨーロッパをはじめとしてガソリンエンジン車から電気自動車(EV)への移行が叫ばれています。
しかしEVの普及の妨げとなる問題点の一つにバッテリー性能が挙げられます。

容量が少なく充電に時間がかかるという貧弱なバッテリー性能のせいでEVはまだまだ実用的でないというわけです。
このEVのバッテリー問題を解決する手段として、スウェーデンは電極を道路に埋め込んだ「電気道路」を世界で初めて公道へ導入しています。

World's first electrified road for charging vehicles opens in Sweden | Environment | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2018/apr/12/worlds-first-electrified-road-for-charging-vehicles-opens-in-sweden

スウェーデンの電気道路については以下のムービーを見ればわかります。
動画:https://youtu.be/VZNHZnyxCm8

スウェーデン・ストックホルム近郊の公道で、世界で初めて電気道路が開設されました。
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道路に埋め込まれた2本の電極ラインによって、道路を走行する自動車のバッテリーを充電します。
なお、電気道路の全長は2キロメートルで、50メートルを1つのセクションとして電極ラインが組み合わせられています。
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バッテリーの充電状況は1台ごとに管理でき、充電量に応じて課金できる仕組みだとのこと。
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バッテリーの充電が可能な電気道路によって、EVの悩みの種である長距離移動の問題は解消されます。
また、走行しながら充電できる電気道路のおかげでEVに搭載するバッテリーの容量自体を大幅に削減でき、車重減によって燃費(電費)も向上しそうです。
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スウェーデン政府は化石燃料依存からの脱却のために、2030年までに化石燃料消費の70%を削減する計画で、電気道路システムはその重要な武器になる見込み。
また、電気道路システムを導入することで二酸化炭素排出量の90%を削減できると見積もっています。
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さらに、電気道路は既存の道路に敷き詰めることが可能で、敷設コストは1キロメートルあたり100万ユーロ(約1億3000万円)。
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電気を動力源とする路面電車を導入するのに比べて50分の1の価格と比較的安価であり、さらに市販の電気自動車を改造して電気道路対応にする追加コストも低いというメリットがあるとのこと。
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すでに2kmの電気道路が開設されています。
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スウェーデンはこの電気道路技術を全国に導入するだけでなく、ドイツなど隣国への輸出も検討しています。
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スウェーデン国内には約50万キロメートルの道路があり、そのうち高速道路は2万キロメートルあり、高速道路間の距離は最大でも45kmです。
そのため、高速道路の2万キロメートルに電気道路を導入すれば十分だという意見があるとのこと。
つまり、高速道路にたどり着くまでの区間であればバッテリー容量の小さなEVでも電欠を起こさず十分対応できるというわけです。
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GIGAZINE 2018年04月13日 16時01分00秒
https://gigazine.net/news/20180413-swedish-electrified-road-charging-vehicle/

※続きます