0001ごまカンパチ ★
2018/04/14(土) 09:02:28.02ID:CAP_USER9※リンク先に動画あり
静岡県の中小企業が開発した「サビ落とし」の新技術が、注目を集めている。
橋や道路などインフラの老朽化問題が深刻化する中で、点検や補修業務をどのように進めていくかは喫緊の課題。
高エネルギーのレーザーでサビだけを除去するアプローチが、課題解決の可能性を秘める。
まるでライトセーバーのような、未来感たっぷりの新技術、まずは動画で見てほしい。
■一瞬で鉄サビが消える
海沿いの町にある、橋の修繕工事現場。投光器に照らされた橋の構造部で、防護服を着た作業員が
白い筒状の装置を構えている。装置の先には1m四方ほどの、全体が赤褐色のサビに覆われた構造物がある。
「レーザー照射します。3、2、1!」作業員が装置のボタンを押すと、「ジーージジジジジ……」と音が響いた。
レーザーは人間の可視光領域を超えているため、はっきりとは確認できない。機材と構造物との距離を調整すると、
高い音に変わった。構造物に当たっている輪っかのような光が強くなり、「バババッ!!!」とさらに音が変化し火花が出た。
レーザー光が当たった部分は、みるみるうちに赤褐色から銀色に変化していく。サビが除去され、金属本来の色が現れたのだ。
作業員は「サビを落とすときに、この装置は発射の反動がないので何も力が必要ない。体力的に楽だし、
どちらかというとゲーム感覚で、楽しいです」と笑顔で話す。
■日本を揺るがすインフラ老朽化
いま、橋やトンネルなどインフラの老朽化が日本社会を揺るがす大きな課題になっている。
日本にあるおよそ70万の橋(2m以上)は、もともと耐用年数を50年とみて設計されている。
国土交通省によれば、建設した年が判明している全国の橋のなかで、50年を経過したものは全体の18%にあたる
約7万1000橋(2013年)だ。いまから5年後の2023年には、4割を超える約17万1000橋が建設から50年を経過するという。
インフラの老朽化問題は、2012年12月の中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故もきっかけにクローズアップされた。
2014年からは自治体や高速道路会社などの道路管理者に対して、橋やトンネルを「5年に1回、目視点検すること」が義務化された。
ところが現実的には、点検にかかる人的コストや、老朽化が見つかった場合の補修の費用をどうするかは簡単な問題ではない。
点検・補修がままならないなか、橋を支える鉄骨がサビにより腐食したり、コンクリートが剥がれ落ちたりして、
通行規制が行われるケースが増加している。
そこでいま建設業界では、インフラの点検や補修を効率化する先進的な技術の開発が急ピッチで進められている。
■島国日本で問題化する「サビ(腐食)」の問題
インフラ老朽化に係る深刻な課題の1つが、サビ(腐食)による強度の低下だ。
鉄などの金属は水分の存在下で酸素と結合すると酸化鉄(サビ)となり、強度が低下する。
塩分には鉄を酸素と結びつきやすくする性質があり、海に囲まれた日本では塩害によるサビが起きやすい。
構造物にサビ部分ができると、そこから水分や塩分が入り込みやすくなり、さらに周辺にサビが進む……という悪循環が生まれる。
放置すると、最悪の場合、鉄骨の破断につながるなど大きなリスクとなる。
冒頭で紹介した技術は、静岡県富士市の塗装業者「トヨコー」が、光産業創成大学院大学(浜松市)と開発。
高エネルギーのレーザー光をサビに照射し、弾き飛ばすことで除去する。
鉄などの金属はもともと光を反射しやすい性質があるが、錆びると光を吸収しやすくなる。この性質を利用し、
レーザーの波長や照射する時間を工夫することで、サビだけを高温にして弾き飛ばし、本体の金属のダメージを
最小限に抑える仕組みを実現した。
この技術にはもう1つメリットがある。「扱いやすさ」だ。
橋の内部で橋脚と橋桁をつなぐ「桁端部(けたたんぶ)」と呼ばれる部分は、構造が複雑で塩分を含む雨水がたまりやすく、
特にサビが起きやすい。しかも橋の内部にあるため作業できる場所が確保しにくく、作業が効率的に進まないという課題があった。
冒頭で紹介したレーザーの発射機は、重さおよそ3kgと片手で持てるほど軽く、狭いところでも動かしやすい。
鉄骨が入り組んだ狭い場所にも持ち込むことができる。
軽量で取り扱いがしやすいレーザーは、こうした狭い場所での作業の効率を大幅にアップさせる。
また、サビの除去に一般的に使われているサンドブラスト工法(砂をぶつけてサビをとる)と比べて反動がなく、
粉塵も少ないため、作業員の負荷を低減できる。
※続く