【ニューヨーク=高橋里奈】米国のヘイリー国連大使は15日、米CBSテレビのインタビューでシリアの化学兵器使用疑惑を巡り、ロシア企業に対する制裁を16日にも発表する見通しだと明らかにした。米英仏の軍事攻撃の根拠となった化学兵器の使用疑惑に関連して「機材などの取引をした企業が対象となる」と語った。トランプ米大統領が言及していたシリアからの米軍撤収は「最終目標」だとして慎重な見方を示した。

 アサド政権の後ろ盾となっているロシアに対し、さらなる圧力をかける考えを表明した。米英仏の軍事攻撃は「化学兵器計画をやめさせるための強いメッセージ」として、「(シリアの)友人であるイランとロシアに我々は本気だということを知らせたかった」と語った。

 緊張が高まるなかで「我々の目標は戦争ではない」と述べ、外交努力をする姿勢を強調。一方で「現段階で米国はシリアと直接対話はしない」と断言した。アサド政権は「米国と対話するだけの価値がない」と切り捨てたが、「政治プロセスは必要」として国連主導の和平プロセスには前向きな姿勢を示した。

 トランプ氏のシリアからの米軍早期撤収発言については「いずれかの段階で撤収すべきだということだ」と弁明した。

2018/4/16 8:21
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29420240W8A410C1MM0000/