政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)は16日午前、放送制度の見直しに向けた議論に着手した。会議には安倍晋三首相が出席。「大きな環境変化を捉えた放送のあり方について改革に向けた方策を議論すべき時期に来ている」と表明した。

 首相は「イノベーションの視点、グローバルなど幅広い多角的な視野、ユーザーの目線に立った未来を見据えた放送のあるべき姿を議論してほしい」とも語った。同会議は6月にも改革案をまとめ、首相に答申する。

 同日の会議で規制改革側が配布した資料では「通信による動画視聴が急速に拡大するなど、技術革新により通信と放送の融合はますます進み、放送を取り巻く環境は大きく変化している」と指摘。検討課題として(1)通信・放送の融合が進展する下でのビジネスモデルの展開の方向性(2)より多様で良質なコンテンツの提供とグローバル展開(3)電波の有効活用に向けた制度のあり方――を挙げた。

 「政治的公平性」などを定めた放送法4条については明記もせず、議論もしなかった。同会議の原英史委員は会議後の記者会見で4条の扱いが議論になるかを聞かれ「幅広く議論していきたい」と述べた。

 放送制度改革を巡っては、首相が1月の施政方針演説で「通信と放送が融合する中、国民の共有財産である電波の有効利用に向けて大胆な改革を進めていく」と強調。規制改革会議の作業部会が有識者やインターネット事業者から聞き取りを続けてきた。民放各社などは放送番組の「政治的公平」などを定めた放送法4条の撤廃に強く反対している。

 放送法4条は番組づくりの大原則となっており、放送業者の番組制作に「公序良俗」「政治的公平性」「正確な報道」などを求める。インターネットなどの通信にはこうした規制はなく、通信に合わせればこうしたルールは撤廃・縮小される。

 放送法5条は「報道」「教育」「娯楽」など番組の種別ごとに設けた編集基準を規定する。こうした規制がなくなれば番組制作の基準は事実上なくなる。放送設備の管理部門と番組の制作部門の分離のほか、外資の参入規制やNHKへの規制のあり方なども議論の対象になる可能性がある。

2018/4/16 10:20
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29421360W8A410C1MM0000/

他ソース
放送法4条撤廃、言及なし2018年4月16日 11時49分
https://mainichi.jp/articles/20180416/k00/00e/010/223000c