総務省消防庁は、救急車出動の必要性が低かった件数を2019年から集計する。救急車の出動は17年速報値で634万2千件に上り、8年連続で過去最多を更新。今後も増える見込みで、タクシー代わりに呼ぶといった「不要不急」の利用実態を把握する。

 出動の増加は高齢化により、病気で運ばれる人が多くなっているためだ。不適切な利用が続くと、緊急時に現場の到着が遅れる事態も心配されている。

 17年の搬送者をみると、48.5%は入院を必要としない「軽症」だった。ただ、119番時点では「激痛で動けなかった」「出血が多く救急車が必要だった」など、出動が必要な事例もある。

 このため、消防庁は新たな基準を設定する。搬送後に軽症と分かった人を対象に、(1)自力で歩けないなど、見た目の緊急性(2)言語障害といった脳卒中などの疑い(3)救急隊による応急処置の有無――などを隊員がチェック。すべて該当しない場合は「必要性が低かった事案」として集計する。

 一方、出動後、搬送に至らないケースもあるが「明らかに死亡」「搬送拒否」「誤報」など、理由は多岐にわたる。出動の必要性を判断するのは難しく、今回は理由の分類見直しにとどめる。〔共同〕

2018/4/15 18:56
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2941387015042018CR8000/