サンフランシスコ 15日 ロイター] - 米フェイスブック(FB)(FB.O)の個人情報取り扱いを巡る懸念が、非会員のデータ収集問題にまで広がりつつある。ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が、FBにアカウントを持っていない人の動向も追跡していると表明したからだ。

ザッカーバーグ氏は11日、米下院で民主党のベン・ルーハン議員の質問に対して、セキュリティー上の理由からFBが「サインアップしたことのない人々のデータ」を集めていると認めた。

議員や市民団体はすぐさまこうしたFBの慣行に反発し、非会員が自分のデータをどこまで知られているかを知る方法を同社が開発する必要がある、との声が大勢になっている。ルーハン議員は「この問題を解決しなければならない」と述べて情報開示を求めた。開示が義務付けられると、FBのターゲット広告能力に何らかの影響が及ぶ可能性がある。

ザッカーバーグ氏は、個人情報をどの程度把握しているのか、またどう使っているかを十分に開示していないとの批判を浴びている。非営利団体センター・フォー・デモクラシー・アンド・テクノロジーのバイスプレジデント、クリス・キャラブリーズ氏は「FBが情報をどう取り扱っているかは不透明だ」と不満をあらわにした。

<クッキーを利用>

FBが非会員の一部データを、例えば会員が友人のメールアドレスをアップロードした際や、「クッキー機能」を利用する形で集めている。

ロイターの取材に対してFBは、これらの情報収集はインターネットが機能する上での基本的な要素だと説明。非会員側が情報収集拒否を選択できるかと聞くと、FBは、クッキー削除などそうした情報の使用を制限できる基本的な機能が存在すると指摘した。

FBは、同社の「いいね」や「シェア」がついたサイトを訪問する非会員のブラウザーにクッキーをインストールすることがしばしばある。これは非会員がいいねやシェアをクリックしたかどうかには関係なく行われている。

一方でFBは、こうしたデータはサイトのトラフィックなどの分析作業に使うが、FB入会を勧める広告以外のターゲット広告には利用しないと表明している。

<EUの新規則が試金石>

議会や市民団体がFBをことさら批判の槍玉に挙げるのは、中国以外ではアルファベット(GOOGL.O)を除けばFBに匹敵する規模の企業は見当たらない上に、ザッカーバーグ氏の開示姿勢が物足りないからだ。

アメリカン・シビル・リバティーズ・ユニオン(ACLU)幹部のダニエル・カーン・ギルモー氏は、例えばザッカーバーグ氏は非会員のデータ収集にはセキュリティー上の目的があるとしながらそれ以上の説明をせず、分析や計測に利用しているか否かも言わないと指摘。さらにFBには、こうした情報をターゲット広告に使うビジネス面の動機があると付け加えた。

こうした中でACLUは米議会に、情報収集に際して事前に本人の了解を義務付けることなど、個人データを保護するための幅広い法整備を求めている。

欧州連合(EU)は新たな個人情報保護制度「一般データ保護規則(GDPR)」を5月に導入する予定で、FBの非会員の情報収集行動にとって規制面で初めての試練となりそうだ。この規則では、情報収集に先立って通知と同意が義務付けられる。

ノースイースタン大学のウッドロー・ハーツォグ教授(法律・コンピューター科学)は、少なくとも「FBは適切に通知するための技術構築の方法を考えざるを得なくなる」と予想している。

FBは13日付の声明で「われわれの製品とサービスは適用される法に則っており、GDPRに沿った形になるだろう」と述べた。


ロイター 2018年4月16日 / 12:58
https://jp.reuters.com/article/fb-personal-data-idJPKBN1HN0BR