内容に疑問符がつく道徳教材その2

「組体操」

今日は運動会の前日。最後の練習だ。笛の合図でだんだんとピラミッドができあがっていく。二段目、三段目。
とうとうぼくの番だ。手と足をいつもの場所に置き(さあ決めてやる)と思ったしゅん間、ぼくの体は安定を失い、床に転げ落ちていた。
かたに痛みが走る。

ぼくはそのまま病院に運ばれた。骨折だった。
ぼくは、目の前がまっ暗になったようで何も考えられなかった。

事故の原因は、わたる君がバランスを崩したことだった。
わたる君はごめんと謝るが、つよし君は許すことが出来ない。そんなつよし君に、お母さんが次のように語る。

「一番つらい思いをしているのは、つよしじゃなくてわたるくんだと思うよ。
母さんだって、つよしがあんなにはりきっていたのを知っているから、運動会に出られないのはくやしいし、残念でたまらない。
でも、つよしが他の人にけがさせていた方だったらもっとつらい。つよしがわたるくんを許せるのなら、
体育祭に出るよりも、もっといい勉強をしたと思うよ」

つよし君の心に、「今一番つらいのはわたるくん」という言葉が強く残る。
そして、「その夜、ぼくは、わたる君に電話しようと受話器をとった」