https://www.cnn.co.jp/m/fringe/35117963.html

2018.04.18 Wed posted at 14:20 JST
(CNN) 米ニューヨークの安アパートから高級マンションまで、至る所に出没するハツカネズミなどのイエネズミ。その生態を1年がかりで調べた結果、ネズミたちの多くが未知のウイルスや人命を脅かしかねない細菌を持っていることが分かった。中には抗生剤が効かない耐性菌も含まれていた。

「ネズミの糞(ふん)には、一般的な抗生剤では治療が難しい有害な細菌が含まれている可能性がある」「汚染された場所は徹底的に洗浄し、汚染された食品は破棄しなければならない」。論文を執筆したコロンビア大学のイアン・リプキン氏はそう語る。

この論文は、17日の米微生物学会誌に掲載された。

リプキン氏の研究チームは、ニューヨーク市の4地区(スタテン島を除く)で7カ所にある住居用のビルから、約1年かけてネズミ416匹を収集した。捕獲場所は半地下にあるごみ収集場所付近が中心だったが、5匹は商業ビルの調理場や食品保管場所で、1匹は個人のアパート内でネズミ捕りにかかった。

捕獲したネズミの糞を調べたところ、235の分類に属する149種類の細菌が見つかった。この中には、胃腸障害の原因となるクロストリジウムディフィシル菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌などが含まれていた。

細菌をさらに詳しく調べた結果、複数の抗生剤に対して耐性をうかがわせる遺伝子を持っていることが分かった。

一方、ウイルスについてはネズミの糞から36種類が発見され、うち6種類は新種だった。いずれもヒトへの感染は確認されていないものの、遺伝子配列は、イヌやニワトリやブタへの感染が確認されているウイルスと一致した。

ニューヨーカーは、どちらかと言えば大型のネズミに対して大騒ぎする傾向が強い。しかしリプキン氏は、「イエネズミの方が屋内にすみついて我々の環境を汚染する可能性が高いので、不安は大きい」と指摘している。

建物の中で餌を探し回るイエネズミ
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