和歌山市は19日、昨年8月から実施していた和歌山城天守閣の耐震診断の結果を公表した。大天守閣など診断したほとんどの建物が、震度6強〜7の大規模地震の震動や衝撃で倒壊、または崩壊する危険性があると判定されたという。市は今後の城郭のあり方について、庁内のプロジェクトチームや外部の有識者らでつくる常設委員会での検討を通じて決める方針。天守閣を木造再建するか、耐震補強するかといった議論は今後2年間は続くとみられる。

 耐震診断は昨年8月から今年3月にかけて、大天守閣や小天守閣、乾櫓(いぬいやぐら)、楠門など9棟で行われた。

 市和歌山城整備企画課によると、壁や柱の強度などを調べたところ、8棟が大規模地震で倒壊または崩壊する「危険性がある」とされた。

 中でも、大天守閣1、2階、乾櫓1階、二の門櫓1階、西南多聞1階などでは「危険性が高い」との判定が出たという。

 結果を踏まえ、市はゴールデンウイークまでに避難場所への誘導経路を示した貼り紙を城内に掲示するとしたほか、地震発生時には係員が避難誘導を行うとした。

 また、建築や文化、障害者支援などを担当する庁内の11課でプロジェクトチームを25日に発足させるとともに、日本城郭研究センター(兵庫県姫路市)の田中哲雄名誉館長ら8人で構成する「史跡和歌山城保存整備委員会」を5月に開く予定という。

 尾花正啓市長はこの日の会見で、当面は天守閣への入場制限などは行わない考えを示した上で、「耐震性がないと判断され、重く受け止めている」と言及。「木造再建は市民から声が出ており、耐震補強は今の文化的価値を壊さないという方法でもある。方向性の決定には2年はかかると思うが、いろいろな検討を通じて早期決断を目指していきたい」と述べた。



産経ニュース 2018.4.20 07:04
http://www.sankei.com/region/news/180420/rgn1804200023-n1.html