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2018年04月20日 06時00分
 太良町のコハダ漁業者でつくる大浦投網部会加工部会(田崎繁治代表)は、食感を損なわない急速凍結機を導入した。取れすぎたり不漁だったりして出荷量や価格が不安定な漁業の平準化を目指している。

 コハダはすしねたとして珍重され、同町産は東京・築地市場でシェアトップを誇る。一方、漁獲量に波があり、1キロ300〜千円と市況も大きく変動する。特に取れすぎた場合、傷みやすいコハダは保存が利かず、お裾分けするなどして消費するしかなかった。

 部会は、県と町の補助金を活用し、マイナス35度のアルコールに浸して食品を急速凍結する装置を購入。短時間で凍結されるため品質劣化が抑えられ、解凍してもドリップ(食品のうまみ成分)が流れ出ないという。3月に同町で開かれた試食会では、唐津市の急速凍結機で保存した太良産のコハダを提供したが、「食感が生と変わらない」と好評だった。

 今月10日には急速凍結機を初めて運用。朝漁獲したコハダ約10キロの頭やはらわたを除き、うろこを落とした後、10匹ずつパッケージして装置に入れたところ、コハダは10分ほどでカチカチに凍った。通常の冷凍庫で、約1年は品質が保たれるという。

 部会メンバーの寺田桂一郎さん(37)は「夏場は加工所の室温管理を含め、鮮度を落とさないように注意したい。品質が落ちないのか自分たちでも確かめる」と話した。現在、県や漁協に依頼し販路を開拓しているという。「うまく稼働すれば経営の安定化につながる」と期待していた。

=2018/04/20付 西日本新聞朝刊=

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