福島第一原発の事故をめぐり東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴された裁判で、当時、東京電力で津波対策の部署を統括する立場だった元社員が証言しました。元社員は、事故の3年前に社内でまとめられた巨大な津波の想定は信頼性が低いと考えていたと証言しました。

東京電力の元会長の勝俣恒久被告(78)、元副社長の武黒一郎被告(72)、元副社長の武藤栄被告(67)の3人は、原発事故をめぐって業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、いずれも無罪を主張しています。

東京電力は、高さ15. 7メートルの津波が福島第一原発に押し寄せる可能性があるという想定を事故の3年前の平成20年にまとめていて、旧経営陣がこの想定をどう受け止めていたのかが裁判で争われています。

東京地方裁判所で開かれた24日の審理では、当時、東京電力で津波対策の部署を統括する立場だった元社員が証言しました。

元社員は、津波対策を取ることについて社内を説得しなければならないと考え、当時の上司と相談し、武藤元副社長に報告することになったと証言しました。
その後、武藤元副社長からは、津波対策を保留し、専門の学会に検討を依頼する方針が示されましたが、元社員は「私も想定は信頼性が低いと考えていた。元副社長の話は合理的だと感じた」と証言しました。

一方、元社員の当時の部下は、今月10日に開かれた法廷で、対策の保留について「予想外で力が抜けた」と証言していて、違いが表れました。

次回は今月27日に引き続き元社員が証言します。

4月24日 18時23分
NHK NEWS WEB
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