神戸市垂水区で2016年10月、市立中3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、同市の久元喜造市長は26日、「破棄された」とされていた他の生徒への教員の聞き取りメモが見つかったことなどを受け、新たな調査委員会を設置し、いじめと自殺の関連などを再調査する方針を遺族に伝えた。久元市長は、これまでの市教育委員会の対応を遺族に謝罪した。

 市教育委員会が設置した第三者委が昨年8月、他の生徒からの容姿中傷発言などをいじめと認定する調査報告書をまとめているが、いじめを自殺の直接要因とは認定しておらず、遺族は「調査が不十分」として今月3日、久元市長に再調査を申し入れていた。

 久元市長はこの日の会見で、再調査を判断した理由に、第三者委が「破棄された」としていた、自殺から5日後に生徒6人から聞き取ったメモを、学校が保管しながらも市教委が確認を怠っていた問題を挙げ、「対応が不適切だった」と指摘。さらに、第三者委が市教委の付属機関の委員で構成され、非公表で調査が始まったことに触れ、「当初から十分な信用が得られるような形ではなかった」とし、意見を求めた弁護士からも「調査が十分に尽くされていない」との声があったという。

 今後は、市子ども家庭局が担当する。遺族の意見も踏まえ、いじめ問題に詳しい弁護士や有識者らを中心に新たな調査委の人選を進め、遺族が求めているいじめと自殺の関連などを調べる方針。久元市長は「可能なら年内にも調査結果をまとめたい」と述べた。

 生徒の母親は代理人の弁護士を通じ、「娘に対してどのようないじめが行われてきたのか、なぜ娘が自死に追いやられたのか、学校の対応に問題はなかったかを明らかにしてほしい」とするコメントを出した。

 兵庫県教育委員会などによると、いじめ防止対策推進法に基づき、県内の市町教委が設置した第三者委の調査が再調査になるのは初めて。(井上 駿)

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