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■なぜ留学生?町の狙いは

町がこれほどの手厚い支援をしてまで留学生を呼び込もうとしているのは、財政上のメリットがあるからです。

自治体には人口に応じて国から地方交付税が配分されます。東川町ではおよそ200人の留学生が住んでいるため4000万円を確保できると試算しています。それを財源に高齢者福祉や子育て支援の充実につなげているのです。

松岡市郎町長は「外国人であろうと人が住んでいるということは町にとって極めて大きなメリットがある」と話します。

短期間しかいられない留学生を呼び込むことで人口を増やし、地方交付税を増やすという取り組みに問題はないのか。総務省は「留学生も住民であり、住民が増えればその分、行政コストもかかるので地方交付税の額が増えるというのは問題ない」ということでした。

一方で課題もあります。今の日本の在留資格の制度では、留学生は母国で大学を卒業しているか、日本語学校を卒業してから日本の大学や専門学校に進学しなければ日本で就職することはできません。

このため留学生のほとんどが卒業後に町を離れてしまい、これまで町に定住した外国人は2人しかいません。

「留学生を呼び込むという入り口のところにいままで重点を置いてきたが、外国人にもできるかぎりとどまってもらい、町の持続を担ってもらうことができるといい」(松岡町長)

■広がる外国人への注目 どう対応するのか

外国人の定住に詳しい日本国際交流センターの毛受敏浩さんは「地方では留学生にとどまらず、外国人の移住・定住を進めていこうという動きが出てきている」と指摘したうえで、次のように話しています。

「外国の人たちを今後どう受け入れていくのか、国の制度をしっかり作っていかないと、自治体など現場の対応だけでは無理がある」

人口減少対策が待ったなしとなっている中で、地域の担い手として外国人の存在をどうとらえるのか、日本全体で考えなければならない時期に来ていると感じた取材でした。