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[ワシントン 30日 ロイター] - 北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡り、米国が自動車部品の域内調達比率を現在の62.5%から最大4年かけて段階的に75%に引き上げることを提案していることが分かった。

ロイターが入手した米政府の提案の要綱で明らかになった。同要綱は現在、自動車業界幹部の間で回覧されている。

具体的には、乗用車および小型車(LDV)の比率を段階的に4年かけて引き上げ、政府が重要視するピックアップトラックについては2年で引き上げる。米通商代表部(USTR)はこれまで自動車部品の域内調達比率の85%への引き上げを主張していた。

米国は今回、エンジンや動力伝達装置(ドライブトレイン)など一部の高価値部品も域内調達比率75%の対象とした。

自動車の生産や生産能力の配分、部品調達の計画を何年も前から決めている自動車メーカーにとって、2年や4年という調達比率引き上げの期間は短い。ただ、提案の要綱によると、メーカーが新たな調達比率基準を満たすための「適切な取り組み」を示す場合、期限の2年延長を認められる可能性があるという。

提案ではこのほか、製造作業について、乗用車および小型車は価格の40%に当たる作業に時給16ドルの賃金を支払うことを要請。ピックアップトラックについては45%とした。

賃金については、ライトハイザーUSTR代表が先週の再交渉会合で、米国とカナダの自動車生産保護に向けてメキシコの賃金水準に上昇圧力を掛けることを目標に提案していた。

メキシコ自動車工業会(AMIA)のエドワード・ソリス会長は30日、自動車を巡る米国の提案は受け入れ難く実行可能でないとの認識を示した。

メキシコだけでなく、米国の業界団体も提案に冷ややかな反応を示していることから、NAFTA再交渉の基本合意に向けた山場とされる自動車分野での合意は近くないとみられる。

米デトロイトや海外ブランドの自動車メーカーを代表する業界団体「オート・アライアンス」は、米国の提案について、低コストの海外ではなく北米での自動車と部品の生産を維持するための「微妙なバランス」が取れた内容ではない可能性を指摘し、懸念を示した。

米国が乗用車に課す輸入関税はわずか2.5%に過ぎないため、コストが上昇すると利益率はさらに少なくなり、NAFTAの恩恵が相殺されかねない。ピックアップトラックに課す関税は25%。