◆世界で通貨冷戦が再燃、ドル押し上げへ−PIMCOのフェルズ氏

パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、世界の中央銀行間における「通貨冷戦」が再燃し、ドル相場が押し上げられるとみている。
PIMCOの世界経済顧問を務めるヨアヒム・フェルズ氏は、トランプ米政権の保護主義政策が今、欧州やアジアの政策当局から反撃を受けていると指摘。

同氏は通貨冷戦を、あからさまな為替介入ではなく、言葉と隠密行動による闘いと定義する。
その「武器」とは、米金融当局が決然と金融引き締めに向かう中、日本銀行や欧州中央銀行(ECB)を含む各国・地域の中銀がハト派に傾いていることだ。

フェルズ氏は調査リポートで、「米国以外の中銀が反撃を開始した」と述べ、「これが続くと、年内の残る期間はドル相場の反発につながる可能性がある」と予想。
日銀やEBC、イングランド銀行(英中銀)が緩和縮小から再び遠のいたと考えられることや、中国人民銀行が一部銀行の預金準備率引き下げを決めた点などに言及した。

「米当局は財政刺激策に対応して利上げを継続する決意のようだが、一方で他の中銀はハト派姿勢を強めているため、ドル高の流れが現在形成されつつある可能性がある」とするフェルズ氏は、「もしそうなら、ある段階で米政権は反転攻勢に出る公算が大きい。
つまり、通貨冷戦が長引くということだ」と分析した。

ブルームバーグ 2018年5月1日 10:16
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-05-01/P80XEO6KLVR801