米ヘルスケア大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、大阪市中央区で「ジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュート大阪」(JJI大阪)を本格稼働させた。最先端医療の訓練機会を提供することで、医療機器の適正な利用を促進。患者が高度医療をより安全に受けられるよう支援するほか、医療機関の研修負担の軽減にもつなげたい考えだ。

 JJI(ジョンソン・エンド・ジョンソン・インスティテュート)は、世界に26の拠点を持ち年間12万5千人を超える医療従事者に対し、トレーニングの機会を提供。外科腫瘍や心臓、電気生理、肥満、眼科、整形外科的疾患など多様な疾患領域に対応している。

 同社は日本でも、1992年に「エチコン研究センター」(福島県須賀川市)、2009年に「O−DEC(オーデック)」(大阪市)、14年に「東京サイエンスセンター」(川崎市)を設立するなど、20年以上にわたり最先端医療の訓練機会を提供してきた。

 JJI大阪では、これまでオーデックとして提供していた整形外科領域でのトレーニングに加え、模擬臓器を使用したプログラムや内視鏡下手術、血管・心臓内治療トレーニング、脳神経外科領域など多様な研修プログラムの提供が可能となった。

 例えば内視鏡下手術では、腹部に開けた小さな穴から器具を挿入し、モニターに映し出された模擬臓器の映像を見ながら手元で操作して手術する。腹部を大きく切開するのではなく、小さな穴を数箇所開けて行う実践的なトレーニングだ。

 訓練に活用する模擬臓器は、大きさや色、形や感触だけでなく、熱によるタンパク質凝固の性質、実際の血流と同じスピードで血が流れる血管など、臓器の性質までリアルに再現。より実践的なトレーニングができるようにしている。

 JJI大阪には、2人の常駐スタッフを配置。医療機関単体では負担が大きい最先端医療のトレーニング設備や人員を、手軽に活用できる環境を整えた。

 JJIの後藤肇克施設長は「より安全な手術のために医師の技術の標準化、底上げに役立てれば」と話し、JJI大阪の活用を呼び掛けている。



大阪日日新聞 2018年5月6日
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/180506/20180506022.html