https://jp.reuters.com/article/us-china-trade-spat-at-wto-idJPKBN1I92BF

2018年5月8日 / 18:23 / 1分前更新
[ジュネーブ 8日 ロイター] - 米国のデニス・シア世界貿易機関(WTO)新大使は8日、一般理事会で初めての演説を行い、WTO規則は世界経済の安定に「全般的に貢献」してきたとの認識を示しながらも、WTO内では何かが「著しく」うまく機能していないとの考えを示した。

ロイターが入手したシア氏の発言を記した文書によると、同氏はWTOの紛争処理で最終的な判断を下す上級委員会について、「信頼は着実に悪化している」とし、「規則に基づき判断を下す責任を課された人々が規則そのものを一貫して無視しており、このシステム内では何かが著しくうまく機能していない」と指摘。「われわれは、紛争処理を巡るいかなるシステムも、すべての加盟国が支持できるものとすることを目標としている」と述べた。

また、中国が自国が犠牲になっていると主張していることについては理解できないとの立場を示し、「世界で最も保護主義的で重商主義的な国が自由貿易と世界的な貿易システムの保護者を自認しているのは驚きに値する」と指摘。WTOは世界的な貿易システムを阻害する国を擁護するようなことがあってはならないと述べた。

上級委の欠員を巡っては、トランプ米政権が新委員の選出を阻止しており、中国はこれを批判。張向晨WTO大使は、上級委の新委員の選出を含め米国はWTOを阻害しているとの認識を示し、米国が鉄鋼とアルミニウムに対する輸入制限措置を導入し、中国に対する500億ドルの関税措置も提案するなどしてWTOの根幹的な原理に挑戦する態度を示していることは「危険で破壊的」であると述べた。