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5月10日 4時18分
日中韓3か国の首脳会議の成果を盛り込んだ共同宣言が発表され、「完全で検証可能かつ不可逆的な核やミサイルの放棄」などが明記された過去の国連安全保障理事会の決議に北朝鮮が従うことを求めています。また首脳会議の成果文書では初めて、「中韓両国の首脳が拉致問題の早期解決を希望する」と、拉致問題が明記されました。

史上初めての米朝首脳会談を前に、安倍総理大臣、中国の李克強首相、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領による日中韓3か国の首脳会議が9日、2年半ぶりに東京で開催されたのを受けて、3首脳は9日夜遅く、会議の成果を盛り込んだ共同宣言を発表しました。

宣言では、まず幅広い分野での3か国の協力と対話を政治的に後押しするために、3か国の首脳会議を定期的に開催することの重要性について一致したとしたうえで、「悠久の歴史および久遠(くおん)の未来」を共有していることを再確認し、協力を進めていくとしています。

そして北朝鮮情勢をめぐり、「われわれは、朝鮮半島の完全な非核化にコミット=関与しており、朝鮮半島と北東アジアの平和と安定の維持は、共通の利益かつ責任であることを再確認する」としています。
そのうえで「関係国の諸懸念に関する、関連国連安保理決議に従った、国際的な協力と包括的な解決によってのみ、北朝鮮にとって明るい未来への道がひらけることを強調する」として、「核や弾道ミサイル計画を完全で検証可能かつ不可逆的な方法で放棄する」などと明記された過去の国連安全保障理事会の決議に北朝鮮が従うことを求めています。

さらに拉致問題をめぐり「李首相とムン大統領が、日本と北朝鮮の間の拉致問題が対話を通じて可能な限り早期に解決されることを希望する」としています。
外務省によりますと、拉致問題についての記述は、過去6回開かれた、日中韓3か国の首脳会議の成果文書には盛り込まれておらず、7回目となる今回、初めて明記されました。

このほか共同宣言では、多角的貿易体制を補完し強化する2国間、地域的、および複数国間の貿易協定の重要性を強調するとして、日中韓FTA=自由貿易協定やRCEP=東アジア地域包括的経済連携の交渉加速化を再確認するなどとしています。

一方、共同宣言とは別に、先の南北首脳会談に関する共同声明も発表され、会談を評価したうえで、米朝首脳会談を通じ、関係国のさらなる努力が、地域の平和と安定に向けた関係国の懸念の包括的な解決に貢献することを強く希望し、共同での努力を強化するとしています。