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5月10日 4時10分
中央省庁が集まる東京 霞が関で働く国家公務員の長時間労働などの相談に労働組合が応じる電話相談が9日夜、都内で開かれました。

電話相談は国家公務員の労働組合「日本国家公務員労働組合連合会」が開きました。
電話相談では「国会審議の対応のため、今まさに長時間労働が続いていて、帰宅は毎晩深夜になっている」とか、「以前の部署では月に90時間以上の超過勤務をしても手当がほとんど支払われなかった」といった相談が寄せられ、相談員が各省庁の組合に具体的に相談することなどをアドバイスしていました。

去年、この組合などが霞が関で働く国家公務員を対象に行った調査では、2541人のうち6.5%に当たる160人余りが「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業をしたと回答したということです。

9日は午後11時までに5件の相談が寄せられ、組合は引き続き相談に応じることにしています。

組合の秋山正臣中央執行副委員長は「仕事は多いのに定員削減のため人が少なく、長時間労働せざるをえない状況に追い込まれている公務員も多い。『働き方改革』を進めるのであれば公務員の長時間労働にも一定の歯止めがかかる対応を取ってほしい」と話していました。

「実感ない」働き方改革

人事院によりますと、長時間労働などの結果、死亡したり自殺したりしたとして民間企業の労災に当たる公務災害と認定された国家公務員は平成28年度、5人だったということです。
特に東京 霞が関の中央省庁で働く国家公務員については業務量の多さや国会審議への対応による長時間労働の問題が以前から指摘されています。

霞が関で働く30代の国家公務員の男性は「国会の会期中、自分は平均で月に100時間以上残業していることが多い。朝方まで働いたり電車で帰宅できた日も翌日は午前7時ぐらいに出勤したりする生活が続く」と話しています。
理由について、男性は「国会議員が質問する際、省庁は答弁書を作成するが、1行、1つの段落を書くだけで協議や決裁が必要になる。また、翌日に自分の働く部署に対する質問があるかどうかがわかるまで帰ることができない」としています。

男性はみずからの体験として、「睡眠不足から食欲もわかず長時間勤務による疲労のため仕事中に意識を失ったこともある」としたうえで、「定時での退庁や建物内の電灯を消して残業しない日を設けるといった取り組みも各省庁で行われているが、自分自身としては働き方改革が進んでいる実感はあまりない。個人的には長時間労働の改善を諦めている雰囲気もあると感じている」と話しています。

そして「国民が安心できる社会に少しでも貢献したいと思い公務員になったが、このまま仕事を続けていたら自分の体が壊れてしまう危機感を持っている。こうした労働環境についても国民に知ってもらいたい」と話しています。