創業100年以上の歴史がある老舗企業の倒産・休廃業・解散が平成29年度は461件に上り、データのある12年度以降で過去最多となったことが帝国データバンクの調査で分かった。リーマン・ショックがあった20年度(430件)や東日本大震災発生後の24年度(417件)を上回った。地域経済の疲弊に加え、インターネット通販の普及など老舗企業を取り巻く環境の変化が背景にある。

 業種別では小売業(191件)が41.4%を占め、製造業21%、卸売業17.4%と続いた。12〜29年度の累計では酒類卸売り、米穀類小売りといった「まちの酒屋さん」のような一般消費者向けの企業が目立った。

 帝国データバンクの担当者によると、老舗企業の苦境は個別の要因によるものというよりは、地域経済が少しずつ疲弊し弱ったところに後継者不足や消費者の好みの変化、インターネットの普及など時代の変化に対応できない事態が重なったケースが多い。多くの老舗企業にとって、今後も逆風が吹く可能性が高い。

 全国には100年を超える歴史を持つ企業は約2万8千社ある。伝統があるだけに経営が硬直化し、変化を望まなかった結果、倒産するなどした会社も多いという。ただ、担当者は伝統を持つ老舗は日本全体の経済活動の礎であり、雇用の確保という点でも重要と指摘。「古くからの『のれん』に価値はある。これまで培った軸を守りながら新たな挑戦もしていってほしい」と述べた。

2018.5.12 21:44
産経ニュース
https://www.sankei.com/economy/news/180512/ecn1805120027-n1.html