封筒を悪用した新手の特殊詐欺が、京都府内で急増している。警察官を装った犯人が、お年寄りに「事件の証拠品になる」とうそをついてキャッシュカードを封筒に入れさせ、別の封筒とすり替えてだまし取る手口で、昨秋以降、府内では1千万円超の被害が出ている。府警は「被害がさらに拡大する恐れがある」と警戒を強めている。

 「銀行口座から現金が引き出されています」。先月上旬、京都市西京区の女性(72)方に警察官を名乗る男が現れた。男は女性に「詐欺事件の証拠品になる」と言い、持参した封筒にキャッシュカードを入れるよう指示。その後、女性に印鑑を取りに行かせた隙に偽のカード入り封筒とすり替え、女性に偽封筒を手渡した。男は「後日、警察署に持ってきてほしい」と言い残して立ち去った。

 数時間後、不審に思った女性が封筒を開封して被害が発覚した。すでに、銀行口座から65万円が引き出されていた。

 府警によると、封筒を悪用した手口は昨年10月から見られ、これまでに計12件(計1034万円)の被害が発生。中には300万円以上を引き出された人もいた。偽カード入り封筒には割り印が押され、犯人が立ち去る際、「数日間、開封しないように」と念を押すのが特徴という。発覚を遅らせ、多額の預金を引き出す狙いがあるとみられる。

 府警は、高齢者宅を訪問し、こうした手口に警戒するよう要請。府警捜査2課の赤名肇次席は「警察官が自宅を訪れてキャッシュカードの話をしたり、暗証番号を聞くことはない。すぐに警察に通報してほしい」と話している。


京都新聞 2018年05月13日 17時00分
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