http://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/news/20180514-OYTNT50159.html
■シカの食害深刻
 尾瀬国立公園の大清水湿原(片品村)で、シカの食害に遭って激減したミズバショウを再生させるため、片品村などは今年度、
本格的な保護対策に乗り出している。すでに、地元高校生らによるミズバショウの移植活動は始まっており、今後、防護柵の設置などを行う。

■移植活動 根気よく
 尾瀬沼への登山口近くにある大清水湿原は標高1180メートルで、約2ヘクタールの湿原に季節の花々が群生する。
かつてはミズバショウも約2万株あり、開花する大型連休頃には多くの観光客が訪れた。

 しかし、2011年頃からシカに食い荒らされるようになり、ミズバショウは激減。
12年から村や地権者の東京電力、尾瀬高などが、移植などの復元作業を始めた。
昨年秋に植えたうち約50株は食害を免れ、効果が出始めているという。

 村は、今年度当初予算にシカの侵入を食い止める防護柵の整備費1000万円を計上。秋頃までに設置する。
春と秋にミズバショウ、夏にはニッコウキスゲの移植をする予定だ。
東電は木道の改修も検討している。近年は尾瀬への入山者が鳩待峠に集中しており、混雑を緩和する狙いもある。

 4月20日に行われた移植活動には、尾瀬高校の生徒や環境省片品自然保護官、東電関係者ら約80人が参加。
梅沢志洋村長は「来春の大型連休には以前のような状態に戻し、観光客に楽しんでもらえるようにしたい」とあいさつした。

 泥だらけで移植に取り組んだ尾瀬高校1年、青木寧生(ねお)さんは
「初めは戸惑ったが、少しずつ慣れてきた。ミズバショウが増えていったらうれしい」と笑顔で話した。
同校の小林由隆校長は「『人と自然と地域と共に』が学校の目標。移植活動を通じ、生徒が郷土を大切にする気持ちを持ってもらえたらいい」と話した。