美容や健康効果から甘酒の人気が高まる中、全国のJAが甘酒の商品開発に力を入れている。原料に管内産のブランド米を100%使用したり、果実など地元の特産物を風味づくりに生かしたりするなど、地域色を前面に押し出した商品が目立つ。成長市場に対応した商品で、米の消費拡大につなげたい考えだ。

 愛知県JA海部東は4月、管内産の米「あいちのかおり」で造った甘酒「あまの雫(しずく)」(390グラム、400円)を発売した。精米時に通常より深く米を削ることで、雑味が少なく、すっきりとした味わいに仕上げた。売れ行きは好調で、JAは「特産のイチゴや赤シソを使い、味のバリエーションを増やしたい」と意気込む。

 北海道JAびえいは1月、小豆入り甘酒「びえい産ななつぼしとしゅまり小豆の甘酒」(190グラム250円)を商品化。管内産の米「ななつぼし」に加え、管内で生産される希少価値の高い「しゅまり小豆」を使った。既に1万5000本以上が売れ、JAは「予想以上の売れ行きで、増産に乗り出した」と話す。

 大学や企業との連携も目立つ。愛知県JAなごやは名城大学などと連携し、JAのブランド米「陽娘(ひなたむすめ)」を使った商品開発に取り組み、3月に名古屋市内で試験販売を実施。広島県JA広島果実連は3、4月、果実などをその場で絞って提供するジュースバーの「旬果」と連携し、「広島レモン」を使った甘酒を期間限定で販売した。

 甘酒は「飲む点滴」といわれ、アミノ酸やビタミンなどの栄養素を豊富に含む。冬に需要のピークとなる商品だが、栄養が豊富なことから、夏場の熱中症対策商品として女性を中心に支持が広がっている。

 民間調査会社の富士経済によると、2017年の甘酒の市場規模は前年比35%増の240億円。3年前の2倍、5年前の2・5倍に拡大するなど、成長が著しい。

日本農業新聞

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