千葉県流山市の住宅街で歩いて帰宅途中だった男性会社員(58)が刃物のようなもので背中を刺され重傷を負った殺人未遂事件は、20日で発生から1カ月。県警は通り魔的犯行とみて流山署に特別捜査班を設置し、男性を刺して自転車で逃走したとみられる人物の行方を追っているが、逮捕に至っていない。「鋭意捜査中」と話す捜査幹部の表情は硬く、市教委は子どもたちの見守り強化を各学校に要請。住民の不安は解消されないままだ。

 事件は流山市東初石2の路上で4月20日午後6時40分ごろ発生。背中を刺された男性会社員の傷は左肩甲骨付近1カ所で肺まで達し、男性は一時意識不明になったが、回復して退院したという。男性は「痛いと思ったら左側を自転車が通り過ぎた」と説明。自転車に乗った人物が男性の背後から近づき、無言で刺したとみられる。

 現場は東武野田線初石駅から北へ300メートルほどの住宅街。近くには学校や病院もある。事件直後と比べれば少なくなったとはいえ、現場近くの通学路はいまも児童に付き添う保護者の姿が見られる。

 小学1年生の母親(39)は「5月から1人で登校させようと考えていたが、事件が未解決のままで心配なので付き添いを続けている。子どもには『下校時もみんなで一緒に帰りなさい』と伝えている」と不安を隠せない。

 別の母親も「下校時に途中で迎えにくる保護者は多い」と話し、交差点で見守り活動をしているボランティアの男性(79)は「まだ犯人が捕まっていないので不安がある。特に1年生の保護者は付き添う人が多い。新潟市の事件もあり、保護者は登校時より下校時を心配している」。小学2年の女児が下校途中に行方不明になり殺害された新潟市の事件が、不安を増幅させているようだ。

 捜査関係者は「怨恨(えんこん)や計画性の話は出ていない」とし、引き続き通り魔的犯行とみて捜査している。周辺の防犯カメラの映像を分析するなどしているが、逃走した人物を特定するには至っていない。有力な物証や目撃情報もなく、事件直後から寄せられた不審者情報も人物を絞り込めるようなものではないという。

 流山市教委は「大型連休以降、地域を巻き込んだ見守り活動の強化を学校にお願いしている。不審者情報があるたびに学校に対しファクスで注意を促している」。子どもたちの安全確保へ警戒を続けている。

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