http://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/3084941061.html

05月23日 19時01分
3年前、岐阜市民病院で、重い腸閉塞の診断が遅れ、小腸の大部分を切除する事態を招いたとして、病院は患者に示談金として約820万円を支払う方針を決めました。

23日、岐阜市民病院が開いた会見によりますと、平成27年4月、県内の60代の男性が腹痛を訴えて受診し、医師は腸が癒着しねじれるなどする癒着性腸閉塞と診断し、点滴をして帰宅させましたが、男性は再び症状を訴え、その夜、救急車で運ばれて入院しました。

男性は鼻からチューブを入れて、小腸の内部の圧力を下げる治療を受けましたが、翌日、さらに症状が悪化し、詳しく検査したところ、腸への血流が止まる「絞やく性腸閉塞」を起こしていたことが分かったということです。
男性は緊急手術を受けましたが、すでに、腸管がえ死していて、小腸の8割を切除されたということです。
その後の検証で、夜、救急搬送された時点で血流などを読み取れる「造影CT検査」をしていれば、症状の悪化を防げた可能性があるとわかり、病院はミスを認めた上で男性に約820万円の示談金を支払う方針を決めました。

男性は半年間の入院を余儀なくされ、現在も消化のよい物しか食べられない不便な生活を送っているということです。
岐阜市民病院の杉山保幸副院長は「造影CT検査には副作用もあり、難しい判断だったが、結果として診断が遅れてしまった。さまざまな可能性を念頭に置くよう徹底し、再発防止に努めたい」と話しています。