「空き家」になったスズメバチの巣に、スズメの家族が棲すみ着き、ひな鳥が巣立とうとしている。

 静岡県熱海市下多賀の不二鈑金塗装の工場で、こんなほほ笑ましい光景が見られる。

 スズメバチの巣は高さ約70センチ、直径は太いところで約40センチ。
同社代表の薄田功さん(70)によると、巣は3、4年前に隣接する倉庫の軒下にできた。
「見る見るうちに大きくなった。危ないからそっとしておこうと思った」という。

 だが、「飾れば魔除よけになる」と思い立った薄田さん。
秋頃、スズメバチの動きが落ち着いたのを見計らって巣を取り外し、工場に移して天井からつるした。

 今春、スズメの夫婦が姿を見せるようになり、
今月半ば頃には小さな穴が開いて「愛の巣」になったことがわかった。
今では出入り口の直径は10センチほどに広がった。

 巣の中で「チュンチュン」とさえずり、親鳥に餌をせがんでいたひなたちだが、
数日前から3羽が工場内を飛び始めた。屋外へは出て行かず、巣から出て来ないひなも1羽いるらしい。

 「ひなの巣立ちを見たい」と心待ちにしていた薄田さんは、「意外と早く出て来た」と目を細めている。

画像:スズメバチの巣から周囲をうかがう親スズメ
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20180526/20180526-OYT1I50073-N.jpg

読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/eco/20180526-OYT1T50212.html