鹿児島県の奄美大島で絶滅危惧種のアマミノクロウサギなどを襲う
ノネコの問題が近年クローズアップされている。
奄美大島は「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄県)の構成地域として
世界自然遺産への登録が期待されてきたが、政府が1日に推薦取り下げを決定。
再挑戦に向けて希少動物保護の体制強化が求められ、
島内に600〜1200匹生息していると推定されるノネコ対策も急務になっている。

 ノネコは島の集落などの猫が野生化したもので、
奄美大島では環境省が2008年6月に初めてアマミノクロウサギを捕食する姿を撮影。
採取したノネコのふんからは希少哺乳類の毛や骨が高い割合で検出された。
2000〜4800匹と推定される奄美大島のアマミノクロウサギはノネコや森林伐採、
ハブ対策で導入されたマングース、交通事故などによって生存が脅かされている。

 先月29日に鹿児島市内であったノネコについて考えるトークショーでは、
殺処分の是非などが話題に上った。

 環境省の元自然環境局長で鹿児島大の星野一昭特任教授は「希少種にとっては危機的状況だ」と警告。
国と県、島内5市町村が3月に策定したノネコ管理計画では、
捕獲したノネコを譲渡できなかった場合は安楽死処分することにしている。
星野氏は「譲渡がネック。殺処分ゼロに反対ではないが、
ゼロを強く求めるあまり計画の進展が遅れれば殺処分せざるを得ないノネコが更に増える」と訴えた。

 一方、殺処分反対の署名活動をしている東京都の獣医師、斉藤朋子さんが
「1000匹を譲渡するのは無理と思って声を上げないより、
1匹でもいいから声を上げてもらうことが大事だ」と主張。
「1匹を島から出して譲渡するまでの費用は運賃や医療費など多く見積もっても4万〜5万円。
餌や猫砂なども声を上げればすぐ集まる。
少しでも殺すことなく島からノネコを出す方向に持っていってほしい」と呼びかけた。

画像:奄美大島のアマミノクロウサギ
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画像:奄美大島の林道脇にいたネコ
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毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180602/k00/00e/040/227000c