6/6(水) 12:32配信
朝日新聞デジタル

 企業に属さずに個人で仕事を受ける「フリーランス」。仕事上の不安定さは引き受けざるをえないが、せめて出産直後の身体的なリスクは考慮して――。こう訴える当事者の団体が4日、厚生労働省に対し、出産時の手当金などを求める要望書を約1万4千人分のネット署名とともに提出した。

 フリーランスらでつくる「雇用関係によらない働き方と子育て研究会」の試算によると、労働時間と月収が同じ会社員とフリーランスでは、出産、育児の際にもらえるお金に約250万円の差があった。

 例えば、会社員が月収30万円で子どもが1歳になるまで育休を取った場合、育児休業給付金約181万円、出産手当金約65万円が支給される。だが、多くのフリーランスには産休や育休の制度がないため、この支給が受けられず、出産前後は社会保険料も免除されないことが多い。

 会が昨年12月に行った調査では、出産後も働き続けた20〜50歳のフリーランスら288人のうち、45%が産後1カ月以内に仕事を再開していた。会は「母体保護の観点からも問題」として、会社員が労働基準法で与えられる産前産後休業の8週間を目安に、社会保険料を免除することを求めるネット署名を今年2月に呼びかけた。開始から18日で1万人を超える署名が集まった。

 この日、署名を提出した同会代表理事の平田麻莉さんは「多様な働き方が推進される一方で、フリーランスが身体的リスクを負わないと出産、子育てできない現状は『一億総活躍』を阻んでいるのではないか」と訴えた。

 仲介大手の「ランサーズ」の今年の推計によると、国内のフリーランス人口(副業・兼業を除く)は375万人。職種は、デザイナーや美容師、建設現場の作業員などの職人に加え、弁護士や税理士も含まれる。


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