【シャルルボワ=永沢毅】トランプ米大統領が唱えたロシアの主要7カ国(G7)への復帰を巡り、8日の主要国首脳会議(シャルルボワ・サミット)では慎重論が続出した。追放のきっかけとなったウクライナ問題は進展がないうえ、欧州諸国には軍事的脅威を高めるロシアへの警戒感が強い。ここでも米欧の対立が浮き彫りになった。

 G7同行筋によると、複数の首脳がロシアの復帰に言及した。トランプ氏はシリア内戦などでロシアの果たす役割が重要との立場で、サミット出席前には記者団に「ロシアを交渉のテーブルに着かせるべきだ」と主張した。イタリアのコンテ首相も復帰に賛成した可能性がある。

 ロシアは2014年のウクライナ・クリミア半島併合をきっかけに当時の主要8カ国(G8)の枠組みから排除された。このため、英仏独各国は「ロシアとウクライナの関係が大幅に改善しない限り、復帰は不可能」(ドイツのメルケル首相)との見解で一致している。

 北方領土問題の解決をめざしてロシアとの関係維持に腐心している安倍晋三首相は賛否を明確にしなかった。



日本経済新聞 2018/6/9 19:11
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31583380Z00C18A6EA2000/