https://www.nikkei.com/content/pic/20180612/96958A9F889DE1E3E4E4EAE0E3E2E3E0E2E4E0E2E3EA949497E2E2E2-DSXMZO3167627012062018FFE001-PN1-2.jpg

 【香港=木原雄士】「マカオのカジノ王」と呼ばれた何鴻●(桑の又が火)(スタンレー・ホー)氏が12日、カジノ運営大手、澳門博彩控股(SJMホールディングス)会長を退任した。17人の子供のうち娘の何超鳳(デイジー・ホー)氏が会長職を継いだものの、4人目の事実上の妻にあたる梁安h(アンジェラ・リョン)氏らも共同会長に就く複雑な企業統治の体制となる。

 96歳のスタンレー氏は1960年代から40年間にわたってマカオのカジノ運営権を独占し、巨額の富を築いた。不動産や香港とマカオを結ぶフェリー事業なども手掛ける。事業承継を巡って親族が骨肉の争いを繰り広げてきたが、スタンレー氏が経営の一線から退き、一定の節目を迎えた。

 グループの複合企業、信徳集団は2人目の妻との間に生まれた娘でカジノ大手MGM中国の経営に携わる何超瓊(パンジー・ホー)氏が継承。SJMの経営はパンジー氏の妹のデイジー氏が引き継ぎ、弟の何猷龍(ローレンス・ホー)氏は別のカジノ会社メルコリゾーツ&エンターテインメントを率いている。

 かつてマカオ経済を牛耳っていたSJMは大型複合施設の開発で後れを取り、2017年のカジノ事業のシェアは4位と低迷している。経営の立て直しが急務だ。

 新体制ではデイジー氏を含む3人が会長になり、別の人物が最高経営責任者(CEO)を務める。市場では「複雑な統治構造が権力争いを招く余地を残している」(JPモルガン)との懸念が浮上。交銀国際のアナリストは「新しいカジノ施設は19年まで開業しない。18年はSJMにとって厳しい年になる」と指摘する。  

2018/6/12 19:00
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31668210S8A610C1FFE000/