https://www.sankei.com/smp/west/news/180615/wst1806150099-s1.html

運転士、報告義務を失念か誤解…のぞみ人身事故 小倉駅係員、血のり確認も運行継続
2018.6.15 19:34

 福岡県内で14日に起きた山陽新幹線のぞみ176号の人身事故で、JR西日本の平野賀久(よしひさ)副社長らが15日、大阪市の本社で記者会見し、運転士が異常音を感知しながら運転指令に報告せずに運行を続けた判断について「報告義務を定めたマニュアルを失念していたか誤解していた」との認識を示した。

 JR西によると、事故後に停車した小倉駅の係員が新幹線の前頭部に血のりやひび割れのようなものを確認したが、大きな異常と認識していなかった。係員が指令に異常を報告したのは、列車が駅を出発した後だった。

 平野副社長は「多大な輸送障害を発生させ、4万人を超えるお客さまにご迷惑をお掛けし、深くおわび申し上げる」と陳謝した。

 JR西によると、事故が発生したのは小倉駅から約17キロ離れた北九州市の石坂トンネル西側。高架橋に設置された検査用の足場を伝って線路に侵入した形跡があるという。福岡県警は事故で見つかった遺体を同県直方市の男性介護士(52)と確認した。自殺の可能性が高いとみて調べている。

 事故は14日午後2時ごろに発生。博多発東京行きのぞみ176号が人をはねた。JR西は山口県下関市の新下関駅に停車させ、先頭車両の先端に割れを確認。運転士は「ドン」という異常音に気づいたが、過去に小動物に当たった経験から、今回も同様の衝撃音と考え運行を継続したという。

 JR西は昨年12月に山陽新幹線の台車に亀裂が入った問題を受け、異常音があり、安全の確認ができない場合はすぐに停止することを徹底するなどの方針を示していた。