2018年6月16日
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180616-OYTET50003/

 政府は、発生が懸念される新型インフルエンザのワクチンについて、1年半〜2年かかる全国民分のワクチンの製造期間を大幅に短縮し、最短半年で用意できる体制を今年度内に整える方針を決めた。新たな製造法を導入することで実現させる。15日に開かれた厚生労働省の専門家部会で報告された。今後は、重症化が懸念される小児や高齢者らの接種順について本格的な議論に入る。

 新型インフルエンザはトリなどの間で流行するウイルスが変異し、人間の間でも流行するようになる感染症で、免疫を持たない国民の多くが感染・発症するとされる。政府は発生後にワクチン製造に取りかかる予定だが、従来の製造法では流行のピークに間に合わない可能性が高いため、1000億円以上をかけて見直しを進めていた。

 厚労省によると、新たな製造法「細胞培養法」は鶏卵を使う従来の方法と違い、短期間での大量生産が可能になる。メーカー3社の間で、半年間に計1億3000万人分以上を製造できる体制が整う見通しが立ったという。ワクチンの配布などをめぐって混乱しないよう、政府は配布や接種の優先順について早急に議論を本格化させ、国民の理解を得たいとしている。