米国の鉄鋼輸入制限に対して欧州連合(EU)や中国などが発動した報復措置が、米企業や農家に及ぼす悪影響が顕在化してきた。米二輪車メーカーのハーレーダビッドソンが生産を海外に移転するほか、豚肉などの農産物で売り上げが減少。米国内の事業者が今後の貿易相手からの報復拡大に警戒を強めている。

 ハーレーは25日、EUが22日に発動した二輪車への報復関税を回避するため、欧州向け製品の生産を米国から海外に移管すると表明した。欧州向けの関税は6%から31%に上昇し、1台当たりの生産コストは平均約2200ドル(約24万円)増えるという。

 同社は米国を代表する老舗メーカーだが、「海外で最重要の欧州事業を維持するため」として顧客に理解を求めた。だが、トランプ大統領は同日、ツイッターで「ハーレーが最初に白旗を揚げるとは驚いた。彼ら(米企業)のために闘ってきたのに」と述べ、同社の判断に批判をにじませた。

 ただ、米企業は相手国からの報復関税に加え、鉄鋼・アルミに関税分が上乗せされることによる原材料価格の上昇も重荷だ。米輸入制限によるハーレーの負担増は年9千万〜1億ドルに上り、「ハーレーに続いて海外生産を決める企業が出てくる」(米エコノミスト)との見方がある。

 また、AP通信によると、すでに中国が発動した対米報復措置を受けて、中国への輸出割合が大きい農畜産物に影響が出ており、特に豚肉業界では「年間約22億ドルの損失が予想される」(アイオワ州立大学)との試算も出ている。

 米政権は来月6日に対中制裁を発動する方針で、大豆やアメリカニンジンなど対中輸出を主力とする農家などが、報復措置の拡大に懸念を深めている。(ワシントン 塩原永久)

2018.6.26 09:18
産経ニュース
http://www.sankei.com/economy/news/180626/ecn1806260017-n1.html

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