千葉県我孫子市の元すし店経営、西堀常政さん(74)が6月29日、自転車で3年間に4000キロ超を走り、日本列島縦断を達成した。
仲間2人とともに列島縦断を目指したが、けがのため自分だけが未達成だったため、17日間かけて約2150キロに及ぶ東日本縦断を1人で走破。
高齢をものともしない走りを見せ、仲間たちに温かい拍手とともに出迎えられた。【橋本利昭】


列島縦断は2015年、西堀さんら同市のサイクリング愛好会「三連勝クラブ・シニアチーム」のメンバー3人が計画した。
しかし、西堀さんは同年7月の出発直前、自宅近くで自転車から転倒し、左手小指を骨折。
メンバーを1人欠いた状況になったが、元銀行員の佐藤明弘さん(78)=同県柏市=と元パイロットの高野康之さん(64)=同県松戸市=の2人は11日間かけて東日本を走破した。

そして翌16年5月、3人は西日本縦断を計画。だが、同4月に熊本地震が発生したため九州縦走を外したルートに変更し、14日間で約1600キロを走った。
昨年5月には5日間かけて約500キロを走る九州縦走を成し遂げ、佐藤さんと高野さんは3年がかりの日本縦断を成功させた。

達成感に浸る2人に対し、「半分だけじゃあ、日本縦断にならない」と心残りだった西堀さん。
「けじめをつけたい」とこの1年、体力づくりに励んだ。

そして迎えた東日本縦断の挑戦。6月13日、北海道稚内市を目指し、妻ゆう子さん(72)と旭川市から自転車で北上。その後は1人で日本最北端の宗谷岬から南下した。
函館市からフェリーで本州最北端の青森県大間町に渡り、東北の陸中海岸沿いを通り、29日に栃木県小山市から自宅に向かった。

道中は苦難の連続。

1日10〜12時間ペダルをこぎ、北海道ではみぞれが降る中、寒さに耐え、ゴールは30度近い猛暑に見舞われた。
ゆう子さんは自宅に待機して宿の手配をするなど後方支援。ゴールでは約10人の仲間が拍手で出迎えた。

ゴールした西堀さんは「1日最大180キロ走り、朝食も食べることができず、必死の思いだった」と疲れた表情を見せた。
だが仲間に囲まれると、「学生時代に達成した日本一周の時以上の喜びです。これからは、のんびりと自転車本来の楽しみを味わいたい」と笑顔で話した。


2018年7月1日 11時31分
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180701/k00/00e/040/145000c