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タイ北部チェンライ県の洞窟に閉じ込められた少年ら13人の救出作業の舞台裏が、潜水士らの話で明らかになった。
少年たちは半ば眠ったような「鎮静状態」で運び出され、救助隊も排水ポンプの故障により間一髪で脱出するなど、
洞窟内の緊迫した状況が浮かび上がっている。

「洞窟内の酸素濃度が(危険レベルの)15%まで落ち、大雨も迫っていた。決断せざるを得なかった」。
救出作戦の指揮を執ったナロンサク前県知事は11日夜の記者会見でこう語った。

徐々に失われていた洞窟内の酸素

潜水はおろか、泳ぎすらおぼつかない少年たち。当局には救出の長期化を示唆する声もあったが、
6日に元海軍特殊部隊の潜水士が酸欠で死亡。洞窟内の酸素が徐々に失われていることがはっきりしたという。

加えて、少年ら13人が避難していたのはわずか5メートル四方の岩棚。水位が上昇すれば立つ場所もない。
予報では近く大雨が予想され、迫り来る水への危機感も判断を後押しした。

救助隊も生命の危険と隣り合わせの作業が続いた。2日夜に少年らが発見された直後、医師や潜水士たち7人が
食料などを届けるために出発したが、23時間も連絡が途絶え、安否不明に。結局、自力で戻ってきたものの、
うち3人が体調を崩して入院したという。特殊部隊員は「私たちも危険な状況だったが、13人が助けを待っているから
諦めなかった」と話した。

パニックに陥らないよう鎮静剤のような薬が投与された可能性

11日の会見では新たな事実も判明した。8日からの潜水による救出では、潜水中にパニックに陥らないよう
13人に鎮静剤のような薬が投与された可能性が浮上。少年らは2人一組の潜水士の片方とロープで結ばれて水中を運ばれ、
歩ける場所では担架に固定されて搬送された。

10日に全員が救出された直後には、排水ポンプが故障。洞窟内の水位が見る見る上がり、前線基地にいた
多数の救助隊員は間一髪で脱出した。

海軍特殊部隊のアーパーコン司令官は「今までで最も困難な任務だった」と振り返った。