https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180717/k10011537101000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_004

日本とEU 経済連携協定に署名
2018年7月17日 19時57分日EU・EPA

安倍総理大臣とEU=ヨーロッパ連合のトゥスク大統領らは、日本とEUのEPA=経済連携協定に署名したあと共同の記者会見に臨みました。安倍総理大臣は、EPAについて、保護主義的な動きが世界で広がる中で日本とEUが自由貿易の旗手として世界をリードする政治的意思を示すものだと述べ、意義を強調しました。
安倍総理大臣は17日午後、総理大臣官邸で、EU=ヨーロッパ連合のトゥスク大統領、ユンケル委員長と、日本とEUの定期首脳協議を行ったあと、EPA=経済連携協定に署名しました。

このあと安倍総理大臣はトゥスク大統領らと共同の記者会見に臨みました。この中で安倍総理大臣は、日本とEUのEPAについて「保護主義的な動きが世界で広がる中、日本とEUが自由貿易の旗手として世界をリードしていくという揺るぎない政治的意思を世界に鮮明に示すものだ」と述べ、意義を強調しました。

そのうえで、「人口およそ6億人、GDPのおよそ3割、およそ21兆ドルを占める世界で最大級の規模の先進経済圏が新たに誕生する。

21世紀にふさわしい高い水準の自由で公正な経済の枠組みを作り、アベノミクスの新しいエンジンとなるもので、農林水産業者や中小企業などにとって大きなチャンスが生まれることとなる」と述べ、早期発効を目指す考えを示しました。

また、安倍総理大臣は、EPAとともに、テロ対策や国連改革など幅広い分野での協力を推進するSPA=戦略的パートナーシップ協定にも署名したことについて、「自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有するパートナーとして、自由貿易の旗を高く掲げ、日EU関係をあらゆる分野で力強く発展させ、世界の平和と繁栄に貢献していく」と述べました。

一方、北朝鮮問題をめぐって、安倍総理大臣は「先の米朝首脳会談は拉致・核・ミサイル問題の解決に向けた一歩として歓迎する。北朝鮮には豊富な資源と勤勉な労働力があり、安保理決議を完全に履行すれば北朝鮮は明るい未来を描くことができる。拉致問題の早期解決に向け、日本として北朝鮮と直接向き合う決意を伝え、EUの支持を得た」と述べました。

「経済圏内に大きな利益と確信」 安倍総理大臣

安倍総理大臣は、共同記者会見で「EPAは、日本のGDPをおよそ5兆円、そして雇用を29万人創出するアベノミクスの新しいエンジンとなるものだ。また、現在、世界的に保護主義への懸念が高まっている中で、日本とEUが自由で公正なルールに基づく貿易体制の重要性を世界に発信していくことの意義は極めて大きい。自由で公正なルールに基づく高い水準のEPAを結んでいくことによって、この経済圏の中で生きる人たちに大きな利益をもたらすことを示していくことになると確信している」と述べました。

また、国内の農林漁業者への対応については「質の高いEUの5億人の市場に向けた、日本の安全でおいしい農林水産物の輸出拡大の新たなチャンスだ。政府としても、輸出額1兆円の目標達成に向け、事業者を支援していく」と述べました。

安倍総理大臣は「日本とEUは地理的には距離はあるが、その中で価値を共有し、これほど距離が近づいた瞬間はなかった。この歴史的な合意のうえに、グローバルな協力を発展させ、地域だけではなく世界の平和と繁栄に貢献していきたい」と述べました。