最大震度6弱を観測した大阪北部地震から18日で1カ月。表面的には落ち着きを取り戻したようだが、高槻市災害ボランティアセンターでは、被災者支援の地道な取り組みが続けられている。15日、支援に漏れや偏りがないか聞き取って回る戸別訪問ボランティアを取材した。

 この日は市内2カ所を拠点に活動した。このうち、JR摂津富田駅には午前9時、ボランティア約40人が集合し、バスで拠点施設に向かった。聞き取りの手順や支援内容、罹災(りさい)証明申請の有無などの伝えるべきことが説明された後、各5人程度の班に分かれた。

 訪問して回るのは同市塚原3、4丁目。高槻西阿武野地区コミュニティ協議会の板東央静(てるよし)会長は「自治会や自主防災会などが協力して、要支援者の安否は発生当日に確認できた。屋根や塀が崩れた家が多く、『自宅に戻るのが怖い』と避難所にも十数人がいる」と話す。

 大阪ボランティア協会理事の永井美佳さんらの班6人は、さらにふた手に分かれた。歩くだけで汗が滴る。住宅の屋根にはブルーシートが目立つ。既に業者に見てもらった家が多いが、順番待ちや猛暑による工事延期のため、80代男性は「修理は10月。台風シーズンはどうしよう」と不安を漏らした。永井さんは笑顔を絶やさず支援制度などを説明した。

 永井さんと回った伊達直哉さん(42)は、昨秋の府内の台風被害で泥かきなどの経験はあるが、聞き取りボランティアは初めて。「被災者に寄り添うにはどうしたらいいか勉強するため参加した」と、緊張気味にインターホンを押していた。

 戸別訪問が終わったのは午後4時過ぎ。インターネットで調べて初めて参加した立命館高3年、古林幸奈さん(17)は70軒ほど回り、「引っ越さないとだめになった高齢者のお話など、直接聞かないと分からないことばかり」と話した。豪雨の被災地にも行きたいという。

 センターによると、14〜15日の2日間で延べ約100人のボランティアが約4700世帯を回った。家具の運び出しや片付け、大型ごみの処理を手伝った他、センターの支援活動を知らせたり、罹災証明申請手続きの相談に応じたりした。同市社協地域福祉課の山田真司課長は「相談内容などは今後の支援に生かしたい」と話していた。


毎日新聞 2018年7月17日 10時57分
https://mainichi.jp/articles/20180717/k00/00e/040/202000c